アリバイ講義
本格ミステリーに必要不可欠なアリバイを講義まえがき
ここでは“アリバイ”について書こうと思います。まず、“アリバイ”とは日本語で 不在証明と書き、ある時刻にその場にいなかったことを“アリバイがあるといい ます。ミステリ小説での“アリバイミステリ”は、犯行があった時間に、犯人は全 く別の場所にいたように見えるという謎がテーマです。
“アリバイ”は日本では一般的なものですが、海外ではこのテーマのものは稀です。 なぜ、このような状況になったのでしょうか?一つは、日本の交通機関が時刻表 どおりに運行しているからです。もう一つは、鮎川哲也氏や松本清張氏などの巨 匠と呼ばれる作家の出現によるものです。
次は“アリバイ講義”についてです。これは“密室講義”のように“アリバイ”を分析、分 類しようと試みたものです。しかし、これをした作家は非常に少ないようです。 判っているだけで鮎川哲也氏の『アリバイ・トリックについて(実技篇)』、有栖 川有栖氏の『マジックミラー』、鯨統一郎氏の『ミステリアス学園』のみです。 私の“アリバイ講義”は上記のお三方のものを踏襲しました。
アリバイ構成に関する分類
いろいろ考えたのですが、鯨統一郎氏の『ミステリアス学園』のアリバイ講義 はシンプルで巧く分類されています。これに、+αしたものを以下に載せました。
・被害者の事象に細工、錯誤がある場合
犯行現場、死亡時刻の細工や錯誤など。
・加害者の事象に細工、錯誤がある場合
写真や電話、双子によるもの。交換殺人。身分証明に関する錯誤など。
・その他(主に殺害方法)の事象に細工、錯誤がある場合
機械的な細工(ファックスによる放火等)によるもの。
・偶然、記憶違い等の事象に錯誤がある場合
犯人は意図せず、第三者の証言によりアリバイが証明されたものなど。
私の好きな作品は、歌野晶午氏の『放浪探偵と七つの殺人』という短編集に 収録されている「有罪としての不在」です。この作品は小説現代メフィスト5月 増刊号で犯人当ての問題編として掲載され、9月増刊号にて解答篇(優秀作品発 表のみ)が掲載されました。正解者6名(完全に正解ではありません)という非 常に難問で、私は全く正解に至りませんでした。


