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アイテム詳細

少女には向かない職業 (創元推理文庫 M さ 5-1)
桜庭 一樹

発売:東京創元社
Amazon.co.jp ランキング:Book で88459位
価格:¥ 609(税込み)/1,500円以上国内配送料無料(一部大型商品は除く)!
発売日:2007-12 /通常24時間以内に発送

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カスタマーレビュー
おすすめ度:
何向けなんだろう?  (2008-08-02)
作品のジャンルをあえて分けるとすれば、ライトノベルということになるのでしょうが、そういう感じもあまりピンときません。

家庭に恵まれない二人の少女。出会いからしてまったくほのぼのしていない。
その後の展開もまったくほのぼのしていない。

少年少女のすべての世界であろう、家庭からの脱出を望む二人。
行動の方法論が突拍子も無く、あまりついていけないような展開ではあるのですが、奇妙にひきつける魅力もある。

諸手をあげて楽しめるような作品ではないのですが、
気軽に読めば楽しめるのかなという作品。


なんで山羊を殴るの?  (2008-07-28)
最近気になる作家だったので本は買ったものの、まだ読んでいなかった。直木賞を獲ったのを機にようやく読んでみた。一読してわかるのはライト・ノベル風だということ。読みやすくていいのだが、軽薄な文体にはやや違和感を感じる。そしてさらに困るのが、登場人物の考え・行動がさっぱり理解できないことだ。別に、読者に共感を要求する作家ではないとは思うが、こうまで支離滅裂だと話についていけないものがある。筆力はあるし、サクサク読めるのはいいのだが、では結局なんの話だったのかと考えると困ってしまう。

暴力を描くこと自体はいいけど、それには思想背景が必要だと思う。ただ思いつきで書かれてもこっちは戸惑うばかりだ。

傑作!  (2008-06-17)
 直木賞受賞で完全にブレイクした桜庭さんの本です。
 この方の本は、これが初読みでしたが、素直に面白かったので他のも少しずつ読んでいこうかと思います。
 「中学二年生の一年間で、あたし、大西葵十三歳は、人を殺しました」
 そんな衝撃的な独白で幕を開ける物語は、この葵という少女と、クラスメートの宮乃下静香という少女の二人の物語です。彼女達は夏休みがくるまでにお互いをそれと意識したこともないくらい、まったく親しくもなかったのですが、ある事がきっかけで急速に仲良くなり、そして二人で殺人を犯してしまいます。果たしてどんな経緯で、どんな目的で、どうやって少女が殺人を犯すのか。それは読んでいただくしかないですが、この作品、どうぞ最後まで読んで下さい。 
 というのも、途中まではいかにもな少女ものなので、人によっては投げたくなるかも知れませんので。たぶん、好みの問題ではあるのですけれど、こういう少女特有の心の動きとかが苦手だという人の話もよく聞くのであえて書いておきますが、もしそうでも最後まで読んで下さい。
 途中まではこの小説、わりあいとオーソドックスなジュヴィナル小説というかライトノベル的な雰囲気で、少女期毒との屈託や親への反抗(彼女の場合は、「大人は誰もわかってくれない」という言葉の裏にそれだけの重い生活があるのだけれど)を描いていくのですが、それが後半からまた一段違うミステリ物語へと変貌していくからです。一粒で二度美味しいというか、前段後段で二つの小説を味わっているかのようなそんな感覚が味わえます。連続しているんだけれど、二つの味わいがここには同居しています。
 中学生には中学生だからこそ感じる、そして逃げようのない苛立ちやそれをはねのけるだけの力がもてないことへの苛立ちが確かにあります。自分たちがかつてそうだった地点というのをくっきりと思い出させてくれる描写を著者は丹念にしていきます。シリアスな物語の中でも、それでも学校での友達づきあいがだらだらと続いたり、仲間うちでのつきあい方に一喜一憂したりといった今どきの現実をきちんと描いてくれます。だからこそ、そんな中でこの女の子たち二人がやらざるを得なかった、自分というものを肉体的にも精神的にも守る為にやったことを、ストレートに自分が中学生のときだったらという気持ちで読む事ができますし、たぶんある部分ではなんだかわからないけど感動したり応援したくなったりすると思います。
 内容に触れてしまうのでこれ以上書けませんが、表面的な謎解きや日常と非日常のアンバランスを楽しむというよりは、少女特有の世界、彼女達から見た世界でしかありませんが、そういうものを感じて自分の気持ちがあっちこっちへさまようのを楽しむような物語です。
 。。。今回のレビューは自分的にもうまく伝わらないだろうなぁ、、、というのがよくわかっていますが、本当にまぁ「とにかく読んでみて。そしたらわかるから」というお話です。でも、ひょっとすると女性が感じるものと男性が感じるものは全然違うかも、と思わせる小説でもありました。

サクリファイスとしての少女  (2008-05-11)
   〈不幸をウリにするなんて下品だってこと。(中略)不幸は、
    口に出したら自分の魂を汚してしまう気がするんだ。〉


近年の小説の登場人物は、隙あらば、自分のトラウマを
振りかざし、「不幸自慢」をしているような印象があります。

本作の主人公・大西葵は、本能的にそういった
傾向の卑しさや虚しさを知っているといえます。


無職でアル中の義父からはDVに遭い、親であるより、
女であることを優先する母には重荷に思われている葵。

しかし、そんな状況を葵はありのままに受け入れ、特に親に対して、
怨嗟の念を募らせることもなく、なんとか日々をやり過ごしていきます。

自分だけが特別不幸なのではないし、他人に相談したところで
現実が変わるものではないと悟っていたからでしょう。


また、本作におけるゲームの扱われ方も、じつに暗示的。

葵にとってゲームは、鬱屈する感情を発散させる安全弁であると
同時に、淡い想いを寄せる幼なじみとの絆でもありました。

その象徴ともいえるメモリーカードを、
義父はあっさりと握りつぶしてしまいます。

それはそこに宿ったデータという名の「命」や、
幼なじみとの思い出まで破壊されたことを意味します。

俗耳に馴染む「ゲームをしていると命に対する想像力を失う」
という紋切り型の批判に対する皮肉と挑発といえるでしょう。


本作は、深刻なテーマが扱われていながら、重さを感じさせず、決して
ハッピーエンドとはいえないラストでありながら、読後感も爽やかです。

それはひとえに葵のどこかとぼけたお茶目さと、
その精神の健全さに負うところが大きいと思います。


そんな葵が、「時代」にサクリファイスとして選ばれて
しまうのは、ある意味、必然だったのかもしれません。

少女の魂は殺人には向かない  (2008-04-25)
中学二年生の二人の少女、葵と静香。
たった13歳で、独立できるほどの能力はまだない。自立できるほどの権利も与えられていない。周りが思っているほど子どもではなく、しかし、本人が思うほど大人にもなれていない。
しかし、現実や大人は、時に容赦がなく、太刀打ちができなくなりそうな絶望感の中で、子どもは子どもなりに戦っているのだ。死に物狂いで。

この小説の秀逸さは、凶刃を振り下ろすまでの過程にあるのではない。追い詰められて殺人者になった、その後の心を描いているところが素晴らしい。
からだが勝手に死んでしまいそうなほどの恐怖や後悔が、少女に凶器をもたせて喜ぶ悪趣味から、物語を救っている。しかも、説教臭くなく。
少女には向かない職業があるのだ。だから、凶刃を振り下ろしてくれるなと読み手に向かって戒める祈りを感じた。
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