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アイテム詳細
生ける屍の死 (創元推理文庫)
山口 雅也
発売:東京創元社
Amazon.co.jp ランキング:Book で36787位
価格:¥ 1,260(税込み)/1,500円以上国内配送料無料(一部大型商品は除く)!
発売日:1996-02 /通常24時間以内に発送
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カスタマーレビュー
おすすめ度:
ミステリ史に残る異色の傑作
(2008-01-18)
ミステリの歴史に残る傑作ではないかと個人的に思う一冊なので、あえて本棚の奥から紹介のために出てきました。山口雅也氏、最近ではちょっと新作の刊行ペースが落ちていますが、「キッドビストルズ」シリーズのようなパンクの衣装を着込んだ名探偵が活躍する異色シリーズを出していたり、なかなか興味深いミステリ作家さんです。
さて、この「生ける屍の死」も、かなり異色のミステリです。
というのも、この作品、死体が生き返ってしまうのです。それも複数。普通、ミステリものでは誰が誰をどんな理由で殺したか、どんな方法で殺害したかを解決していくものですが、それもこれも大前提として、死体が何も語らず推理で謎をといていくしかないというところにポイントがあります。しかし、この作品では死者は甦ってしまうのです。ということは、顔を見られた状態で殺されたら、あるいはそれとわかる方法で殺されたら、犯人はわかってしまうのです。死体が生き返る。それだけで通常のミステリの法則は通りません。
もう一つ、殺してしまう理由の最大のものである、被害者の排除ということが死体が甦ってしまうとできません。殺して財産を独り占めにすることも、殺して自分が何かを独占することもできません。これはミステリとしてかなり足かせです。よくも物語にここまでのしばりを入れたものだなと感心するほどです。
なのに、きちんとミステリとして(それも非常に優れたミステリとして)成立していること、そして登場人物がきっちりと描けていること等が自分がこの本を傑作として推す理由です。思いつきのアイデア勝負ではなく、ミステリとしての面白さを加え、なおかつボリューム的にも読み応えのあるこの一冊。ミステリ好きなら是非いつか読んでみて欲しいです。
普通の推理は通用しない
(2007-05-13)
死んだ人が次々に生き返る中での推理。ちなみに主人公まで死人だったりするというハチャメチャな内容。とにかく殺しても生き返ってくるんだから、殺す意味があまりないわけで、なぜその状況の中で殺人が起きるのかが最大の焦点となってくる。設定がめちゃくちゃなわりに、後半はかなり本格推理で、その動機やトリックも素晴らしい。最後は人間の「死」と「生」について考えさせてくれたりした。但しかなり長編であり、登場人物もそのほとんどが外国人でしかも人間関係がややこしい。最初は根気のいる作品ではあると思う。
本格推理に新たな地平を開いた作品
(2006-11-07)
死んだ人がゾンビとして蘇るという不思議な現象が起きる中で殺人事件が起き、登場人物がその真相を探るという変な話です。そういうSF的な発想を持ち込んでしまうと何でもできてしまうので推理小説としてしっかりしたものにはならないように思えるのですが、本作はじつにきちんとした本格推理に仕上がっています。死者が蘇ることがあり得るという命題を設定し、その中で殺人事件が起きたらどうなるかということを正面から大真面目に描いています。とは言え、筆致はユーモア・ミステリ調で、作者は書くのが大変だったでしょうが読者の方は(長い作品であるにもかかわらず)実に軽快に読み進めることができます。
死んだ人が蘇るという設定だし、そもそも舞台が葬儀屋ということで、死にまつわる多彩な知識が披露されます。アメリカを舞台にした作品ということでアメリカの葬儀習慣という普段日本人には馴染みのない世界についての蘊蓄が満載。また、アメリカを舞台にした作品ということで、まるで海外ミステリを翻訳したかのような筆致で描かれるという凝りようです。そして、なぜアメリカを舞台にしているのかずっと不思議に思いながら読み進めていたら、真相が明かされると共にその疑問は見事に氷塊。なるほど日本が舞台では描きづらい事件ですね。
どこが面白いんだ?
(2006-11-03)
というのが私の感想です。
探偵小説になってますが、探偵によって明らかにされるべく提示される謎は魅力的なものではなく、謎を解かんと興味をそそるものでもないし、犯罪の不可能性もない?
最初に謎があって、どういうことだわからんぞ〜〜という思いに駆られ、探偵による解決を楽しみに読んだ私は、最後の解決は「ふ〜ん」という程度の感想しか持てなかった。殺人のトリック自体もあっと驚くようなものでもないですし。
一応アンチミステリーなのだろうか。だから、ミステリーをかなり読み込んでいて、ミステリ学的な考察をするのが好きな人にとっては極上の作品かもしれない。
ただ、文章は非常に読みやすいし、演出も巧いので、読んでて退屈はしない。
山口さん、アメリカで葬儀屋をやっていけますね
(2006-09-09)
日本ミステリ界に大きな影響を与えた作品。話をSF的設定にしても、書き方次第では本格ミステリとして通用する事を実証して見せた傑作だ。私の好きな西澤保彦氏も本作品に影響を受けたと語っている。
舞台はアメリカの片田舎。死者が蘇るという事態が発生する(ただし、時間がある程度過ぎると肉体が崩壊する)。その中で連続殺人事件が起きる。被害者が蘇ると分かっていて、何故犯人は殺人を繰り返すのか ? この不条理状態の中、パンク探偵グリンは事件に首を突っ込むのだが、なんとグリン自身が殺されてしまう。自分の肉体が朽ち果てる前に、何としても事件の真相を暴かねば。グリンの苦闘が始まる...。
死者の蘇りを扱いながら、全篇にユーモアが漂い、特にグリンが自分の"死"を知った時の慌てぶりには、声を出して笑ってしまった。そして、驚くのは作者が、アメリカにおける死者の納棺までの手順に非常に詳しいことだ。死化粧、防腐剤の使い方等アメリカで葬儀屋を開けるくらい。
解決は無論、合理的で動機も納得できるものである。本作における作者の独創と論理的解決が冒頭に述べたように、日本ミステリ界に衝撃を与えた。ミステリ・ファン必読の名作。
おすすめ度:
ミステリ史に残る異色の傑作
ミステリの歴史に残る傑作ではないかと個人的に思う一冊なので、あえて本棚の奥から紹介のために出てきました。山口雅也氏、最近ではちょっと新作の刊行ペースが落ちていますが、「キッドビストルズ」シリーズのようなパンクの衣装を着込んだ名探偵が活躍する異色シリーズを出していたり、なかなか興味深いミステリ作家さんです。
さて、この「生ける屍の死」も、かなり異色のミステリです。
というのも、この作品、死体が生き返ってしまうのです。それも複数。普通、ミステリものでは誰が誰をどんな理由で殺したか、どんな方法で殺害したかを解決していくものですが、それもこれも大前提として、死体が何も語らず推理で謎をといていくしかないというところにポイントがあります。しかし、この作品では死者は甦ってしまうのです。ということは、顔を見られた状態で殺されたら、あるいはそれとわかる方法で殺されたら、犯人はわかってしまうのです。死体が生き返る。それだけで通常のミステリの法則は通りません。
もう一つ、殺してしまう理由の最大のものである、被害者の排除ということが死体が甦ってしまうとできません。殺して財産を独り占めにすることも、殺して自分が何かを独占することもできません。これはミステリとしてかなり足かせです。よくも物語にここまでのしばりを入れたものだなと感心するほどです。
なのに、きちんとミステリとして(それも非常に優れたミステリとして)成立していること、そして登場人物がきっちりと描けていること等が自分がこの本を傑作として推す理由です。思いつきのアイデア勝負ではなく、ミステリとしての面白さを加え、なおかつボリューム的にも読み応えのあるこの一冊。ミステリ好きなら是非いつか読んでみて欲しいです。
普通の推理は通用しない
死んだ人が次々に生き返る中での推理。ちなみに主人公まで死人だったりするというハチャメチャな内容。とにかく殺しても生き返ってくるんだから、殺す意味があまりないわけで、なぜその状況の中で殺人が起きるのかが最大の焦点となってくる。設定がめちゃくちゃなわりに、後半はかなり本格推理で、その動機やトリックも素晴らしい。最後は人間の「死」と「生」について考えさせてくれたりした。但しかなり長編であり、登場人物もそのほとんどが外国人でしかも人間関係がややこしい。最初は根気のいる作品ではあると思う。
本格推理に新たな地平を開いた作品
死んだ人がゾンビとして蘇るという不思議な現象が起きる中で殺人事件が起き、登場人物がその真相を探るという変な話です。そういうSF的な発想を持ち込んでしまうと何でもできてしまうので推理小説としてしっかりしたものにはならないように思えるのですが、本作はじつにきちんとした本格推理に仕上がっています。死者が蘇ることがあり得るという命題を設定し、その中で殺人事件が起きたらどうなるかということを正面から大真面目に描いています。とは言え、筆致はユーモア・ミステリ調で、作者は書くのが大変だったでしょうが読者の方は(長い作品であるにもかかわらず)実に軽快に読み進めることができます。
死んだ人が蘇るという設定だし、そもそも舞台が葬儀屋ということで、死にまつわる多彩な知識が披露されます。アメリカを舞台にした作品ということでアメリカの葬儀習慣という普段日本人には馴染みのない世界についての蘊蓄が満載。また、アメリカを舞台にした作品ということで、まるで海外ミステリを翻訳したかのような筆致で描かれるという凝りようです。そして、なぜアメリカを舞台にしているのかずっと不思議に思いながら読み進めていたら、真相が明かされると共にその疑問は見事に氷塊。なるほど日本が舞台では描きづらい事件ですね。
どこが面白いんだ?
というのが私の感想です。
探偵小説になってますが、探偵によって明らかにされるべく提示される謎は魅力的なものではなく、謎を解かんと興味をそそるものでもないし、犯罪の不可能性もない?
最初に謎があって、どういうことだわからんぞ〜〜という思いに駆られ、探偵による解決を楽しみに読んだ私は、最後の解決は「ふ〜ん」という程度の感想しか持てなかった。殺人のトリック自体もあっと驚くようなものでもないですし。
一応アンチミステリーなのだろうか。だから、ミステリーをかなり読み込んでいて、ミステリ学的な考察をするのが好きな人にとっては極上の作品かもしれない。
ただ、文章は非常に読みやすいし、演出も巧いので、読んでて退屈はしない。
山口さん、アメリカで葬儀屋をやっていけますね
日本ミステリ界に大きな影響を与えた作品。話をSF的設定にしても、書き方次第では本格ミステリとして通用する事を実証して見せた傑作だ。私の好きな西澤保彦氏も本作品に影響を受けたと語っている。
舞台はアメリカの片田舎。死者が蘇るという事態が発生する(ただし、時間がある程度過ぎると肉体が崩壊する)。その中で連続殺人事件が起きる。被害者が蘇ると分かっていて、何故犯人は殺人を繰り返すのか ? この不条理状態の中、パンク探偵グリンは事件に首を突っ込むのだが、なんとグリン自身が殺されてしまう。自分の肉体が朽ち果てる前に、何としても事件の真相を暴かねば。グリンの苦闘が始まる...。
死者の蘇りを扱いながら、全篇にユーモアが漂い、特にグリンが自分の"死"を知った時の慌てぶりには、声を出して笑ってしまった。そして、驚くのは作者が、アメリカにおける死者の納棺までの手順に非常に詳しいことだ。死化粧、防腐剤の使い方等アメリカで葬儀屋を開けるくらい。
解決は無論、合理的で動機も納得できるものである。本作における作者の独創と論理的解決が冒頭に述べたように、日本ミステリ界に衝撃を与えた。ミステリ・ファン必読の名作。
