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アイテム詳細
鮎川 哲也
発売:東京創元社
Amazon.co.jp ランキング:Book で37190位
価格:¥ 798(税込み)/1,500円以上国内配送料無料(一部大型商品は除く)!
発売日:2002-01 /通常24時間以内に発送
おすすめ度:
何と美しい文体
1956年7月10日発表。御大鮎川哲也のデビュー作。実際はGHQに勤務の傍ら那珂川透、薔薇小路棘麿、青井久利、中河通、宇田川蘭子などの多々なる筆名を用いつつ、1950年に『宝石』の100万円懸賞の長篇部門に『ペトロフ事件』が入選しているので正確な意味での文壇デビューとはいえないかもしれないが・・・。
本作を読んで感じ入るのは単にプロットが精緻にできているということでなく、一文一文の文章表現ですら精緻で、深い教養をバックグラウンドに抱えているのが良く分かることだ。文体の美しさはまるで中島敦の『山月記』を読んでいる時のような気持ちになった。そして随所に出てくる傑作の情景、たとえば石川達三の『日陰の村』や北原白秋、なんとエラリー・クイーンのライツビィルまで飛び出してきて驚き・感激である。
傑作として生き残る作品というのは本作のようにすべてにおいて流麗華麗かつ精緻なるものなのだと感心してしまった。さすがである。
腰を据えて読めば
いわずと知れた名作ですが、第一印象はまず、「複雑」でした。
軽くみてはいけません。じっくり咀嚼しながら読み進めてください。
トランクとその中身と人の動きが複雑なのは確かですが、焦らずじっくり
読み進めば必ず楽しめるでしょう。
特に本格ファンは満足できると思われます。謎解きできるかと聞かれると、
ちょっと無理だと言わざるを得ませんが、緻密なトリックの積み重ねには
脱帽です。
メモの用意を忘れずに
私が読んだのはこの「創元推理文庫版」、いわゆる推敲された決定版。
ちなみに「光文社文庫版」のほうは、最初に発表されたままのものだそうだ。
で、このお話は、作中にもでてくるクロフツの「樽」を思わせる作品であることは有名な話だ。
読んでみて実際どうだったかというと似てなくもないし何ともよくわからない。
ただ、それを抜きにしても純粋に面白いお話であることはいえる。
トランクのたどる経路やアリバイのトリックを、こつこつと紐解いていく鬼貫刑事の粘り強さに脱帽だ。
しっかりとした筋立ては読んでても飽きないし、やはり実力がなければこうは書けまい。
「樽」と比較して云々いうなんて野暮なことはせず、
純粋にこの作品を読んで本格推理を楽しめばよいのだ。
ただ、「光文社文庫版」との読み比べは是非やってみたいな。
どちらにしろこの本を読むときは、是非メモの用意をして読むことをすすめたい(笑)。
傑作です
言わずと知れた、鬼貫警部のアリバイくずしの大傑作。なんですが、はじめて読んだとき(角川文庫版)は、ゴチャゴチャしていてわかりづらく、おもしろいとは思えませんでした。今回、創元推理文庫で決定版が出たのを機に、評価が高いんだから自分の読みが浅かった、悪かったに違いない!と再度チャレンジしてみました。
トランクや複数の人物がいったりきたり、ややこしかったという覚えがあったので、今回はメモをとりながら読み進んでビックリ、確かにややこしいんですが、よくぞここまで緻密に考え抜いたものだと感心しました。伏線の張り方も絶妙で、ホンのちょっと顔を出しただけの人物が、後から重要な意味を持っていたことに気づかされ、これまた感心。
その上、他の作品ではあまり私生活を覗かせない鬼貫警部の若かりし頃、学生時代の生活や恋愛について書かれていて、ファンにはトリックがどうのこうのより、こっちのほうが興味深く読めるのではないでしょうか。
警察組織の中にいる人物が、有給休暇をとって知り合いの関係した事件を調査する、それに警察も協力する、などのちょっと不自然かな?と思えるところもありますが、なるほど、傑作の名にふさわしい本格ミステリです。
