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アイテム詳細
名短篇、さらにあり (ちくま文庫)
北村 薫(編集)
宮部 みゆき(編集)
発売:筑摩書房
Amazon.co.jp ランキング:Book で44670位
価格:¥ 819(税込み)/1,500円以上国内配送料無料(一部大型商品は除く)!
発売日:2008-02-06 /通常24時間以内に発送
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発売日:2008-02-06 /通常24時間以内に発送
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カスタマーレビュー
おすすめ度:
昭和作家の圧倒的な筆力とメッセージ
(2008-09-27)
この短編集は大正、昭和に活躍した作家の短編集であるにもかかわらず、全く色あせていないことに驚く。
この中でも、圧倒的だったのが、林芙美子の“骨”。当時でもエリートであった、主人公の道子が、戦争未亡人となった上に病人を抱えて娼婦業に身を置く事に余儀なくされる。二人の病人と子供を抱え、道子の体も弱いという、極端な困難と困窮の中を描写していてもなお、若くして亡くなった作家林芙美子の語り口はなおもって力強い。林は、人の心を描写するというよりも、登場人物がその目に入るものをどうみているかという事、また、周りにどんなものがあるかという事を淡々としかし絶妙に明確に描く事によって、彼らの心を浮き彫りにするので圧巻である。
戦争学徒労働によって病気になり死を迎えんとしている弟のわがままに対して、道子は思わず ”一体どうして私が皆を毎日食わしているから知っているの?.....私に食ってかかるより戦争を呪うがいいやっ。療養所でもどこでも行っておくれよ。”といってしまうと弟は、“俺、ここにいる。どうせ死ぬならここにいる。”消え入るような細い声で泣きながら...。” 戦争に勝つ事を無垢に信じて、ひたすら働いた少年の余りに早い死をまえに、その不合理を思っても誰もが全くの無力だ。
この短編で流れていくのは、可憐な悲しさでなく、現実的な事実としての不幸であり、その現実感は、時代を超えて飛んでくる。
不幸であれ、幸福であれ、どの時代であれ、苦しみ、ただ生きたというこの小説は、人生の真髄とは、ただひたすらに生きて、当然の用に死ぬのであるという中にある事を直球で伝えてくる。
やっぱりこういうアンソロジーは外せないなぁ。
(2008-03-19)
一番印象深かったのは、岩野泡鳴「ぼんち」である。これは、なんとも形容しがたい作品だ。主人公である『ぼんち』は頭が割れているのである。ラスト近くで医者に「あたまの鉢が砕けて、病人の云う通り、脳味噌が外に出てるようやさかい」などと言われるのである。それなのに彼は芸者遊びに付き合わされ、温泉にまで入ってしまうのである。なんとも奇妙な話だ。悲劇なのに、どこかおかしい。チロチロと笑えるのである。明治の時代にこんな画期的な作品があったとは知らなかった。ちょっと感動。
内田百(けん)【←漢字変換できません^^】の「とほぼえ」は漱石の「夢十夜」に連なる夢文学の逸品。不安感がヒタヒタと忍び寄ってくる感覚が素晴らしい。
島崎藤村「ある女の生涯」は、サイコさんが登場して驚かしてくれる。北村・宮部両氏は、最後の対談でこの作品の狂気の描き方が現代的だと言ってるが、昔も今も狂気に変わりはないだろう。
ニ作品も収録されている川口松太郎はどちらも好み。「不動図」は誰からも嫌われるお不動さんの絵の話である。ぼくは、これ喜劇的なとらえ方をしたのだが、宮部氏は可哀相な話だと力説する。人によってとりかたは千差万別なんだなぁ。「紅梅振袖」は今の時代では絶対成立しないお話。古き良き時代の人情馬鹿物語である。
印象に残ったのは、以上の作品。他については、ま、どうでもいいかって感じだ。
こうして感想書いてみると、今回は結構気に入った作品が多かったかな。やっぱりこういうアンソロジーは外せないなぁ。
味わいがあって最高に楽しいアンソロジー
(2008-02-22)
北村薫と宮部みゆきが選ぶ「名短篇、ここにあり」の続編です。
「ここにあり」よりは時代が遡りますが、選ばれている作家は大御所揃いです。その中でもベストの短篇が選ばれており、どの作品もそれぞれの味わいがあって最高に楽しいアンソロジーになっています。
個人的には、「骨」(林芙美子)「不動図」(川口松太郎)が好きです。共に余韻のある終わり方で、人生を考えさせられてしまいます。
人情物ということでは、「紅梅振袖」(川口松太郎)が素晴らしいと思います。胸をじーんとさせてくれる一途な思いが伝わってきます。
軽いコミカルなものでは、「押入の中の鏡花先生」(十和田操)「ぼんち」(岩野泡鳴)がいいです。
怖さを求めるのであれば、「鬼火」(吉屋信子)です。
その他には、「華燭」(船橋聖一)「出口入口」(永井龍男)「雲の小径」(久生十蘭)「とほぼえ」(内田百閨j「ある女の生涯」(島崎藤村)が掲載されています。
巻末は、北村薫と宮部みゆきの対談ですが、これも面白い内容になっています。
おすすめ度:
昭和作家の圧倒的な筆力とメッセージ
この短編集は大正、昭和に活躍した作家の短編集であるにもかかわらず、全く色あせていないことに驚く。
この中でも、圧倒的だったのが、林芙美子の“骨”。当時でもエリートであった、主人公の道子が、戦争未亡人となった上に病人を抱えて娼婦業に身を置く事に余儀なくされる。二人の病人と子供を抱え、道子の体も弱いという、極端な困難と困窮の中を描写していてもなお、若くして亡くなった作家林芙美子の語り口はなおもって力強い。林は、人の心を描写するというよりも、登場人物がその目に入るものをどうみているかという事、また、周りにどんなものがあるかという事を淡々としかし絶妙に明確に描く事によって、彼らの心を浮き彫りにするので圧巻である。
戦争学徒労働によって病気になり死を迎えんとしている弟のわがままに対して、道子は思わず ”一体どうして私が皆を毎日食わしているから知っているの?.....私に食ってかかるより戦争を呪うがいいやっ。療養所でもどこでも行っておくれよ。”といってしまうと弟は、“俺、ここにいる。どうせ死ぬならここにいる。”消え入るような細い声で泣きながら...。” 戦争に勝つ事を無垢に信じて、ひたすら働いた少年の余りに早い死をまえに、その不合理を思っても誰もが全くの無力だ。
この短編で流れていくのは、可憐な悲しさでなく、現実的な事実としての不幸であり、その現実感は、時代を超えて飛んでくる。
不幸であれ、幸福であれ、どの時代であれ、苦しみ、ただ生きたというこの小説は、人生の真髄とは、ただひたすらに生きて、当然の用に死ぬのであるという中にある事を直球で伝えてくる。
やっぱりこういうアンソロジーは外せないなぁ。
一番印象深かったのは、岩野泡鳴「ぼんち」である。これは、なんとも形容しがたい作品だ。主人公である『ぼんち』は頭が割れているのである。ラスト近くで医者に「あたまの鉢が砕けて、病人の云う通り、脳味噌が外に出てるようやさかい」などと言われるのである。それなのに彼は芸者遊びに付き合わされ、温泉にまで入ってしまうのである。なんとも奇妙な話だ。悲劇なのに、どこかおかしい。チロチロと笑えるのである。明治の時代にこんな画期的な作品があったとは知らなかった。ちょっと感動。
内田百(けん)【←漢字変換できません^^】の「とほぼえ」は漱石の「夢十夜」に連なる夢文学の逸品。不安感がヒタヒタと忍び寄ってくる感覚が素晴らしい。
島崎藤村「ある女の生涯」は、サイコさんが登場して驚かしてくれる。北村・宮部両氏は、最後の対談でこの作品の狂気の描き方が現代的だと言ってるが、昔も今も狂気に変わりはないだろう。
ニ作品も収録されている川口松太郎はどちらも好み。「不動図」は誰からも嫌われるお不動さんの絵の話である。ぼくは、これ喜劇的なとらえ方をしたのだが、宮部氏は可哀相な話だと力説する。人によってとりかたは千差万別なんだなぁ。「紅梅振袖」は今の時代では絶対成立しないお話。古き良き時代の人情馬鹿物語である。
印象に残ったのは、以上の作品。他については、ま、どうでもいいかって感じだ。
こうして感想書いてみると、今回は結構気に入った作品が多かったかな。やっぱりこういうアンソロジーは外せないなぁ。
味わいがあって最高に楽しいアンソロジー
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「ここにあり」よりは時代が遡りますが、選ばれている作家は大御所揃いです。その中でもベストの短篇が選ばれており、どの作品もそれぞれの味わいがあって最高に楽しいアンソロジーになっています。
個人的には、「骨」(林芙美子)「不動図」(川口松太郎)が好きです。共に余韻のある終わり方で、人生を考えさせられてしまいます。
人情物ということでは、「紅梅振袖」(川口松太郎)が素晴らしいと思います。胸をじーんとさせてくれる一途な思いが伝わってきます。
軽いコミカルなものでは、「押入の中の鏡花先生」(十和田操)「ぼんち」(岩野泡鳴)がいいです。
怖さを求めるのであれば、「鬼火」(吉屋信子)です。
その他には、「華燭」(船橋聖一)「出口入口」(永井龍男)「雲の小径」(久生十蘭)「とほぼえ」(内田百閨j「ある女の生涯」(島崎藤村)が掲載されています。
巻末は、北村薫と宮部みゆきの対談ですが、これも面白い内容になっています。
