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アイテム詳細
戻り川心中 (光文社文庫)
連城 三紀彦
発売:光文社
Amazon.co.jp ランキング:Book で93749位
価格:¥ 560(税込み)/1,500円以上国内配送料無料(一部大型商品は除く)!
発売日:2006-01 /通常24時間以内に発送
連城 三紀彦
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価格:¥ 560(税込み)/1,500円以上国内配送料無料(一部大型商品は除く)!
発売日:2006-01 /通常24時間以内に発送
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カスタマーレビュー
おすすめ度:
情緒纏綿
(2008-10-06)
花がモチーフの短編ミステリー集。
いずれも、大正末期から昭和初期が舞台だが、あまりに雰囲気が良く出ていて、
思わず作者の年齢を確認してしまった(今年還暦を迎えたばかり)。
よく考えたら、およそあり得ないプロットなのだが、
筆力で(それも自然に)読ませてしまう。
それと、いずれも動機が最大のポイントなのだが、ちゃんと
手がかりや伏線が置かれているのが「本格」的。
加えて練達な筆致に、一読、巻を措く能わず、で一気に読了。
それにしても、この人の文章は美しい。
詩的で情緒纏綿たる描写とはこのこと。
文学の香り高い本格物として稀有な作品、と思う。
「花」という美しい錯覚に殉じる生
(2008-05-19)
◆「桔梗の宿」
死体が握っていた一輪の白桔梗。
二つの殺人事件を繋ぐこの花は
〈ダイイング・メッセージ〉なのか、
あるいは何かの〈見立て〉なのか?
結末で浮かび上がるのは、犯人の巧緻な
策略ではなく、哀しくも切実な動機だった…。
人の行動が自分の想いとは裏腹に作用し、まったく
望まない構図に収斂させられてしまうという悲劇。
◆「桐の柩」
男と女の何重にも捩れた情念の交錯、そして
「柩」と「死体」の関係における逆説的な着想―。
やくざの世界という舞台設定と骨絡みの
トリックの鮮烈さに眩暈すら覚えます。
◆「白蓮の寺」
幼少の記憶に焼き付けられた凄絶な母の姿。
果たして母は、父を殺したのか?
自らの「記憶」に翻弄された主人公が最後に直面するのは、寄って立つ
現実が崩れ去るが如き「真実」と愚かしくも美しい人の情念です。
◆「戻り川心中」
二度の心中未遂事件で、二人の女を死に追いやり、
その情死行を歌に遺して自害した天才歌人。
彼が求めていたのは何だったのか?
我々は「作者」と「作品」の間に密接な
関連性を見出さないではいられません。
そんな思い込みこそが本作の犯行の不可欠な要素となっているのです。
犯人が狂おしい妄念を燃やして描き出した幻の花。
彼は自らの命を賭すことで、決して色褪せない永遠の花を手にしたのです。
叙情派作家の本領
(2006-12-16)
連城氏を叙情派作家の代名詞として定着させた花をテーマにした短編集。特にタイトル作は、映画化、TV化もされ代表作とされている。
「藤の香」は昔懐かしい代書屋を取り上げて、代書屋を通して様々な想いを交わす色街の女達の哀感を描く。「桔梗の宿」は作中にも触れられているように「八百屋お七」に題を取ったものだが、作者独自の世界を構築するまでには至らなかった。「桐の柩」はあるヤクザの粋な行動が実は保身のための矮小なアガキだったというユーモア・ミステリ向けの題材だが、これを叙情的に描く作者の力量は皮肉でなく見事。「白蓮の寺」は自身の幼い頃の記憶に残る母親の殺人場面と火事の場面の謎を探るため、過去を辿って行くうち自己の意外な運命を知るという鮮やかな構想の作品。「戻り川心中」は心中未遂の上、蘇生した菖蒲に自身を重ねて傑作歌集を残した歌人の謎を追う話。生物学的に枯れた花が蘇生する筈はないので、もとより本格風には書けない。これを読み手に語る順番と叙情性とで一編の物語に仕上げるあたりが作者の手腕か。
謎の焦点を物理的なものから人間の機微に変えて新しいタイプのミステリを構築した傑作短編集。
完全にしてやられました。
(2006-12-05)
藤の香,桔梗の宿,桐の柩,白蓮の寺,戻り川心中の5篇からなる花葬シリーズ。
約60ページ/篇なので,短編というには長めですが,どの作品も独自の香りを放ち,しかもよく練り上げられた力作揃い。
9割がた真相が判りかけたと思った瞬間に,全く異なった哀しく美しい人間ドラマが
現れる演出は,ただただ見事と言わざるを得ません。
「我が国のミステリの歴史において,最も美しくたおやかな名花である。流麗な文章,
纏綿たる情緒,鮮やかなトリックが,恋愛小説と探偵小説を両立させ,読者を底深い
酔いへと導く。」との解説にも,誰もが納得することでしょう。
おすすめ度:
情緒纏綿
花がモチーフの短編ミステリー集。
いずれも、大正末期から昭和初期が舞台だが、あまりに雰囲気が良く出ていて、
思わず作者の年齢を確認してしまった(今年還暦を迎えたばかり)。
よく考えたら、およそあり得ないプロットなのだが、
筆力で(それも自然に)読ませてしまう。
それと、いずれも動機が最大のポイントなのだが、ちゃんと
手がかりや伏線が置かれているのが「本格」的。
加えて練達な筆致に、一読、巻を措く能わず、で一気に読了。
それにしても、この人の文章は美しい。
詩的で情緒纏綿たる描写とはこのこと。
文学の香り高い本格物として稀有な作品、と思う。
「花」という美しい錯覚に殉じる生
◆「桔梗の宿」
死体が握っていた一輪の白桔梗。
二つの殺人事件を繋ぐこの花は
〈ダイイング・メッセージ〉なのか、
あるいは何かの〈見立て〉なのか?
結末で浮かび上がるのは、犯人の巧緻な
策略ではなく、哀しくも切実な動機だった…。
人の行動が自分の想いとは裏腹に作用し、まったく
望まない構図に収斂させられてしまうという悲劇。
◆「桐の柩」
男と女の何重にも捩れた情念の交錯、そして
「柩」と「死体」の関係における逆説的な着想―。
やくざの世界という舞台設定と骨絡みの
トリックの鮮烈さに眩暈すら覚えます。
◆「白蓮の寺」
幼少の記憶に焼き付けられた凄絶な母の姿。
果たして母は、父を殺したのか?
自らの「記憶」に翻弄された主人公が最後に直面するのは、寄って立つ
現実が崩れ去るが如き「真実」と愚かしくも美しい人の情念です。
◆「戻り川心中」
二度の心中未遂事件で、二人の女を死に追いやり、
その情死行を歌に遺して自害した天才歌人。
彼が求めていたのは何だったのか?
我々は「作者」と「作品」の間に密接な
関連性を見出さないではいられません。
そんな思い込みこそが本作の犯行の不可欠な要素となっているのです。
犯人が狂おしい妄念を燃やして描き出した幻の花。
彼は自らの命を賭すことで、決して色褪せない永遠の花を手にしたのです。
叙情派作家の本領
連城氏を叙情派作家の代名詞として定着させた花をテーマにした短編集。特にタイトル作は、映画化、TV化もされ代表作とされている。
「藤の香」は昔懐かしい代書屋を取り上げて、代書屋を通して様々な想いを交わす色街の女達の哀感を描く。「桔梗の宿」は作中にも触れられているように「八百屋お七」に題を取ったものだが、作者独自の世界を構築するまでには至らなかった。「桐の柩」はあるヤクザの粋な行動が実は保身のための矮小なアガキだったというユーモア・ミステリ向けの題材だが、これを叙情的に描く作者の力量は皮肉でなく見事。「白蓮の寺」は自身の幼い頃の記憶に残る母親の殺人場面と火事の場面の謎を探るため、過去を辿って行くうち自己の意外な運命を知るという鮮やかな構想の作品。「戻り川心中」は心中未遂の上、蘇生した菖蒲に自身を重ねて傑作歌集を残した歌人の謎を追う話。生物学的に枯れた花が蘇生する筈はないので、もとより本格風には書けない。これを読み手に語る順番と叙情性とで一編の物語に仕上げるあたりが作者の手腕か。
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完全にしてやられました。
藤の香,桔梗の宿,桐の柩,白蓮の寺,戻り川心中の5篇からなる花葬シリーズ。
約60ページ/篇なので,短編というには長めですが,どの作品も独自の香りを放ち,しかもよく練り上げられた力作揃い。
9割がた真相が判りかけたと思った瞬間に,全く異なった哀しく美しい人間ドラマが
現れる演出は,ただただ見事と言わざるを得ません。
「我が国のミステリの歴史において,最も美しくたおやかな名花である。流麗な文章,
纏綿たる情緒,鮮やかなトリックが,恋愛小説と探偵小説を両立させ,読者を底深い
酔いへと導く。」との解説にも,誰もが納得することでしょう。
