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アイテム詳細
日本の黒い霧〈上〉 (文春文庫)
松本 清張
発売:文藝春秋
Amazon.co.jp ランキング:Book で4589位
価格:¥ 710(税込み)/1,500円以上国内配送料無料(一部大型商品は除く)!
発売日:2004-12 /通常24時間以内に発送
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発売:文藝春秋
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発売日:2004-12 /通常24時間以内に発送
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カスタマーレビュー
おすすめ度:
孤高のノンフィクション
(2008-09-23)
上巻のハイライトは何といっても「下山事件」ですが、この推理は下巻の「帝銀事件」「松川事件」と並んで有名ですね。朝日記者・矢田喜美雄氏の「謀殺 下山事件」とともに今では通説とされているようです。
GHQ内の対立構造や共産党勢力への対抗策といった諜報の構図を推測したうえで、事件当日の下山氏の足取りと現場に残った手がかりを検分していきますが、事件の背景と事実を照らし合わせていくこの構成は、自分のような当時を知らない者にとっては輪郭が掴みやすく、検分で次々と明らかになる事実に固唾を呑まずにいられません。推察についても、この事実はこう読み取ることも出来るのではないだろうか― という清張氏の考えは決して一方に傾倒するような論調ではなく、丹念な取材の裏付けであることが一読して解るし、推理のプロセスに大いに納得させられました。
上下巻を通読すれば統治下から経済発展を迎えるまでの日本国家がどのように時代の波に呑まれていったかが解ります。権力や情勢という巨大で複雑な渦の中に石を投じた清張氏の姿勢にも感銘を受けますが、何より時代の犠牲となった人々を忘れないためにも本書を是非手に取って欲しいと思います。
日本に暗躍した二つの「黒い霧」
(2008-07-07)
本書の初出は文芸春秋1960年の連載です。時は東京オリンピックを控え高度成長
の助走をしていた時期です。私たちは今の日本の姿が起こるべくして起こった事実
の積み重ねの結果としてあると思いがちです。しかし本書を読むと当時の日本は米ソ冷戦下、
アメリカとソ連という二つの黒い霧が暗闘する混沌とした時代であったことが窺われます。
展開次第ではどちらに転ぶか分からない不安定な情勢を著者は鋭く感じ取り、
バランスよく題材を取り上げています。
前半の『下山国鉄総裁忙殺論』『「もく星」号遭難事件』『二大疑獄事件』は
アメリカ占領下の日本の暗部を描き、後半の『白鳥事件』『ラストヴォロフ事件』
『革命を売る男・伊藤律』は日本に暗躍する共産スパイと日本の共産主義者の活動
を取り上げているのは、自分はイデオロギーで物を書いているわけではないという
彼の無言の主張なのでしょう。
冷戦が終わり多極化が進む現在、本書を読むと「今は昔」感は確かに禁じ得ま
せんが、日本が二つの黒い霧を彷徨ったプロセスを知ることは「現在」を知り、
「未来」を展望するためには欠かすことのできない作業なのではないでしょうか。
本書を読んで連想すること
(2008-06-29)
ブッシュ政権による北朝鮮のテロ支援国家の解除がきまった。任期終了が目前にせまった今となっては、もう何もしてほしくないのに、不人気な政権がその末期におこなう駆け込み的な実績作りである。ここに至っては道徳の問題だ。一個人の欲望の前に国際関係にも同盟国の日本との関係にも重大な支障をおこす。クリントン大統領の末期の時もオルブライト国務長官が北朝鮮で歓待されて醜態をさらした。
本書を読んで連想するのが、国家による犯罪であり謀略である。翻弄される人間の悲しみと無力である。北朝鮮に肉親を拉致されたご家族の悲しみは如何ばかりとおもうが、拉致の全貌はなにも発表されていないし、ジャーナリズムも沈黙している。発表すると日本の側の失策と怠慢が明らかになるからだろうと、根拠レスであるが想像する。
このときに松本清張ありせば、拉致事件にどう迫るか、とおもうのである。本書の推理が当たっているかどうか。事件の真相が解明されるのは、今後百年単位の年月がたって世界情勢が様変わりしてからであろう。本書の推理をくつがえすような出版はまだ現れていない。
歴史は流転する
(2008-01-04)
当時、「砂の器」とか、「黒革の手帖」がドラマ化されてたりして、
なんか松本清張の本を読んでみようかなと思って手にした本。
戦後日本で起こった怪事件のいくつかを取り上げ、
その背景に迫り、真相を追究するといったノンフィクション。
下山事件とか昭和電工事件とか、日本史の教科書の年表のところでしか
触れることのなかった昭和史の暗部にせまる。
当時、GHQの影響下にあったり、「独立」直後だったりで、
アメリカの影響下にあった日本。
迷宮入りしてしまった事件の多くがアメリカ・GHQの陰謀では
ないのかという松本清張の推理が続く。
完全に経済大国として自立してからの日本に生まれた俺に
とっては、想像のつかない昔の話であるけれども、
昨今の日米関係を見ていると、「歴史は流転する」では
ないけれども、肝に銘じておくべきポイントは多々あると思います。
各事件のあらまし・背景を知らないと読みにくいか・・
(2007-09-20)
戦後の占領下日本の怪事件を描き、その真実を推理した古典的名著。
原著は昭和35年の雑誌連載記事とのことで、それぞれの事件の発生後10年前後という時代に書かれた作品といえる。当時の読者にとっては、そもそもの事件のあらましや背景、世相や社会の雰囲気といった知識があるため、著者の筆がいきなり事件の核心部、迷宮入りしている部分に肉薄していったとしても問題はなかっただろうし、雑誌連載という形態を考えると悠長な説明は不要だったのだろう。が、そうした同時代性が失われた今から読むと、ピンとこない部分が少なくない。
有名な下山国鉄総裁轢死事件、日航機”もく星号”墜落事件といった有名事件ならまだしも、白鳥警部射殺事件、伊藤律共産党除名事件、ソ連領事館員亡命事件などなどにくるとなんともつらい。読み進めると断片的な情報から事件の輪郭はつかめるものの、著者の文章が鋭く突く事件の真相への洞察を感じ入るほどの読み込みはできなかった。
事件に関する情報だけではなく、なにげなく書かれている社会的背景の情報についても、本書だけでは不足だろう。例えば当時のNHKは現在の渋谷ではなく日比谷にあったわけで、”NHK前から”という文中の描写では知りようがない。当時、国家警察(国警と省略されている)と自治警察の二本立てで各地に所在し対立していたという事など背景知識も必要だろう。
おすすめ度:
孤高のノンフィクション
上巻のハイライトは何といっても「下山事件」ですが、この推理は下巻の「帝銀事件」「松川事件」と並んで有名ですね。朝日記者・矢田喜美雄氏の「謀殺 下山事件」とともに今では通説とされているようです。
GHQ内の対立構造や共産党勢力への対抗策といった諜報の構図を推測したうえで、事件当日の下山氏の足取りと現場に残った手がかりを検分していきますが、事件の背景と事実を照らし合わせていくこの構成は、自分のような当時を知らない者にとっては輪郭が掴みやすく、検分で次々と明らかになる事実に固唾を呑まずにいられません。推察についても、この事実はこう読み取ることも出来るのではないだろうか― という清張氏の考えは決して一方に傾倒するような論調ではなく、丹念な取材の裏付けであることが一読して解るし、推理のプロセスに大いに納得させられました。
上下巻を通読すれば統治下から経済発展を迎えるまでの日本国家がどのように時代の波に呑まれていったかが解ります。権力や情勢という巨大で複雑な渦の中に石を投じた清張氏の姿勢にも感銘を受けますが、何より時代の犠牲となった人々を忘れないためにも本書を是非手に取って欲しいと思います。
日本に暗躍した二つの「黒い霧」
本書の初出は文芸春秋1960年の連載です。時は東京オリンピックを控え高度成長
の助走をしていた時期です。私たちは今の日本の姿が起こるべくして起こった事実
の積み重ねの結果としてあると思いがちです。しかし本書を読むと当時の日本は米ソ冷戦下、
アメリカとソ連という二つの黒い霧が暗闘する混沌とした時代であったことが窺われます。
展開次第ではどちらに転ぶか分からない不安定な情勢を著者は鋭く感じ取り、
バランスよく題材を取り上げています。
前半の『下山国鉄総裁忙殺論』『「もく星」号遭難事件』『二大疑獄事件』は
アメリカ占領下の日本の暗部を描き、後半の『白鳥事件』『ラストヴォロフ事件』
『革命を売る男・伊藤律』は日本に暗躍する共産スパイと日本の共産主義者の活動
を取り上げているのは、自分はイデオロギーで物を書いているわけではないという
彼の無言の主張なのでしょう。
冷戦が終わり多極化が進む現在、本書を読むと「今は昔」感は確かに禁じ得ま
せんが、日本が二つの黒い霧を彷徨ったプロセスを知ることは「現在」を知り、
「未来」を展望するためには欠かすことのできない作業なのではないでしょうか。
本書を読んで連想すること
ブッシュ政権による北朝鮮のテロ支援国家の解除がきまった。任期終了が目前にせまった今となっては、もう何もしてほしくないのに、不人気な政権がその末期におこなう駆け込み的な実績作りである。ここに至っては道徳の問題だ。一個人の欲望の前に国際関係にも同盟国の日本との関係にも重大な支障をおこす。クリントン大統領の末期の時もオルブライト国務長官が北朝鮮で歓待されて醜態をさらした。
本書を読んで連想するのが、国家による犯罪であり謀略である。翻弄される人間の悲しみと無力である。北朝鮮に肉親を拉致されたご家族の悲しみは如何ばかりとおもうが、拉致の全貌はなにも発表されていないし、ジャーナリズムも沈黙している。発表すると日本の側の失策と怠慢が明らかになるからだろうと、根拠レスであるが想像する。
このときに松本清張ありせば、拉致事件にどう迫るか、とおもうのである。本書の推理が当たっているかどうか。事件の真相が解明されるのは、今後百年単位の年月がたって世界情勢が様変わりしてからであろう。本書の推理をくつがえすような出版はまだ現れていない。
歴史は流転する
当時、「砂の器」とか、「黒革の手帖」がドラマ化されてたりして、
なんか松本清張の本を読んでみようかなと思って手にした本。
戦後日本で起こった怪事件のいくつかを取り上げ、
その背景に迫り、真相を追究するといったノンフィクション。
下山事件とか昭和電工事件とか、日本史の教科書の年表のところでしか
触れることのなかった昭和史の暗部にせまる。
当時、GHQの影響下にあったり、「独立」直後だったりで、
アメリカの影響下にあった日本。
迷宮入りしてしまった事件の多くがアメリカ・GHQの陰謀では
ないのかという松本清張の推理が続く。
完全に経済大国として自立してからの日本に生まれた俺に
とっては、想像のつかない昔の話であるけれども、
昨今の日米関係を見ていると、「歴史は流転する」では
ないけれども、肝に銘じておくべきポイントは多々あると思います。
各事件のあらまし・背景を知らないと読みにくいか・・
戦後の占領下日本の怪事件を描き、その真実を推理した古典的名著。
原著は昭和35年の雑誌連載記事とのことで、それぞれの事件の発生後10年前後という時代に書かれた作品といえる。当時の読者にとっては、そもそもの事件のあらましや背景、世相や社会の雰囲気といった知識があるため、著者の筆がいきなり事件の核心部、迷宮入りしている部分に肉薄していったとしても問題はなかっただろうし、雑誌連載という形態を考えると悠長な説明は不要だったのだろう。が、そうした同時代性が失われた今から読むと、ピンとこない部分が少なくない。
有名な下山国鉄総裁轢死事件、日航機”もく星号”墜落事件といった有名事件ならまだしも、白鳥警部射殺事件、伊藤律共産党除名事件、ソ連領事館員亡命事件などなどにくるとなんともつらい。読み進めると断片的な情報から事件の輪郭はつかめるものの、著者の文章が鋭く突く事件の真相への洞察を感じ入るほどの読み込みはできなかった。
事件に関する情報だけではなく、なにげなく書かれている社会的背景の情報についても、本書だけでは不足だろう。例えば当時のNHKは現在の渋谷ではなく日比谷にあったわけで、”NHK前から”という文中の描写では知りようがない。当時、国家警察(国警と省略されている)と自治警察の二本立てで各地に所在し対立していたという事など背景知識も必要だろう。
