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アイテム詳細
戦後日本経済史 (新潮選書)
野口 悠紀雄
発売:新潮社
Amazon.co.jp ランキング:Book で8625位
価格:¥ 1,260(税込み)/1,500円以上国内配送料無料(一部大型商品は除く)!
発売日:2008-01 /通常24時間以内に発送
野口 悠紀雄
発売:新潮社
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価格:¥ 1,260(税込み)/1,500円以上国内配送料無料(一部大型商品は除く)!
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カスタマーレビュー
おすすめ度:
戦時から変わることのない経済体制。
(2008-10-31)
よく、戦時・戦後の断絶が日本の問題の一つだと言われていますが、野口氏はそれとは正反対の主張をしています。それは、戦時と戦後はつながっていて、戦後の日本経済は戦時期に確立された経済制度の上に成立しており、日本経済のこれまでの発展と現在の行き詰まりの要因となっている、というものです。
断絶はむしろ、戦前と戦時の間にあるようでうす。戦前の日本は間接金融よりも直接金融方式の経済システムを採用していて、株主が企業に対し強い影響力を持っていたそうです。それが、戦時経済においてはイノベーションよりも規律が重んじられ、規律と親和性の高い間接金融の重要性が高まり、日本の経済は一気に間接金融に傾斜することになります。農地解放、財閥解体、癪借家法は、戦時経済の中で形成・準備されてきたものでした。その意味で、戦後日本の社会構造を作ったのは戦時体制であると野口氏は説きます。
本書によると、戦争直後、軍需省はまたたくまに商工省(現在の経産省)と名を変え占領後も残ることになりました。大蔵省もまたしかり。財閥も解体はされたものの、財閥系の企業は残り、支配的な立場を保ち続けてきました(戦後の日本の大企業といったらソニーとホンダくらいのものだそうです)。そして、銀行が支配的な地位を占めるという間接金融の仕組みも戦時そのままのものです。それ以外にもメディア、教育制度、土地制度、全てが戦時のものを引き継いでいるそうです。
野口氏は、占領経済改革が不徹底だった理由は、GHQ内の派閥対立と東西冷戦の激化(よって経済に打撃を与えずに日本を早急に対共産主義の防衛基地にする必要があった)のみならず、GHQの人々が日本について極めて浅薄な理解しか持ち合わせていなかった事にあると指摘しています(ドイツの場合は多くのユダヤ人が占領軍に情報を提供したのに対し、日本の場合、そのような人間も少なかった)。また、官僚もその「三大得意芸(最高権力者に対する面従腹背、都合の悪い情報は一切出さない情報操作、自分たちが必要であるとの最大限アピール)」をいかんなく発揮して占領軍の目を曇らせる事に成功したとも氏は指摘します。
戦後の日本経済は、高度成長を成し遂げます。その原動力となったのは、家計貯蓄をスムーズに財政投融資・企業投資につなげられる郵貯と間接金融の仕組み、租税特別措置、解体されることなく力を持ち続けた財閥系の企業の存在、企業と官庁の関係が維持されたことによる天下り先の確保と、それによる官僚機構の若さの維持などがが挙げられます。これらの多くは、日本の経済システムが戦前のものを引き継いでいるからこそのものでした。「世界で最も効率的な社会主義経済」として、中央集権的な日本経済は成長を進めます。
その後のオイルショックも、それからの立ち直りも、そして、バブルも、現在日本経済が行き詰まりに至っていることも、この戦時中の経済システムが現在にも引き継がれている事に由来していると先生は喝破します。現代の行き詰まりは、情報技術が発達した現代においては、地方分権的なシステム作りが最適なのに対し、日本の経済システムが中央集権的であるという事に一因があると本書では書かれています。
読みながら、感じた点を2点。
現地にもともとある指導機構をそっくりそのまま残し、占領政策のコストを低減するというのはアメリカの一貫した統治スタイルで(韓国もそうですし、最近で言えばイラクもそう)、もしGHQが日本について正確な知識を持っていたとしても、結果は同じだったのかもしれません。
それと、「日本の経済システムが戦前のものを戦後も引き継いでいる」、という命題が正であるのであれば、戦後の様々な経済の出来事や行き詰まりが戦前のシステムに由来している、というのは、当然と言えるのかもしれません。世の中の多くの出来事は、構造的な問題に由来するのですから。
戦後経済を読み解く一冊
(2008-08-15)
日本の戦後経済は、戦時中につくられた経済体制の上に築かれたとの認識のもと、戦後の経済史をひもとく一冊。高度成長や石油ショックの対応において優れたパフォーマンスを示した、この体制が今や機能不全に陥っていると本書は指摘する。
「週刊新潮」に2006年8月から07年7月まで連載された「戦時体制いまだ終わらず」の記事をまとめたものであるから、エッセー風の読みものとなっている。したがって、この体制自体(著者は「1940年体制」と呼ぶ)についてまとまった記述がされているわけではない。しかし、著者の観点から時系列に歴史をひもとく本書を読む事は、現代日本低迷の本質を知る上での参考になることであろう。
「1940年体制」の詳細については、同著『1940年体制−さらば「戦時経済」』(東洋経済新報社)に記述されているので、こちらも併読するとより理解が深まるに違いない。
戦後日本経済史のパラダイム本
(2008-06-22)
良く言われる戦前と戦後の連続性をバブル崩壊まで見据えて語っている。戦後の経済改革は全て戦中戦前に路線が敷かれていた。農地改革は戦争遂行のため自作農を後押しする必要があった。総力戦を戦うためには資本家が資本市場から資金を調達して利潤追求を第一義とするのではなく、経営者が銀行から資金を調達して国家社会への貢献を重視するように再編する必要があった。戦争のために国家社会主義的計画経済を打ちたて、その仕組みで傾斜生産方式、護送船団方式で高度成長を達成した戦後日本。システムを修正しなかったことが失われた10年につながるという筆者の見解は明快で首尾一貫している。高度成長期会社が正社員を増やしたのは退職給付引当金や社宅経費が法人税から控除される税制のおかげだというのも目からウロコ。「公的年金はねずみ講」との喝破も。実は戦時統制経済構造の上に平和主義、民主主義という思想がぴったり上手く乗っかっていた・・・今後書かれる日本経済史は本書の提示したロジックを踏まえて書かれなければならないだろう。
週刊新潮の連載をまとめた本だが日本の週刊誌の水準の高さ(幅の広さ?)にも驚かされる。
肩のこらない経済読み物
(2008-06-01)
戦後日本は、占領軍により導入された経済民主化政策(農地改革、財閥解体、労働立法)、平和憲法の制定、公職追放などの改革で出直した新生日本(軍事国家から平和国家への大変身)が、その後の世界でも稀にみる高度成長を実現した――これが戦後日本の一般的な認識だろう。だが、著者はまったく異なる歴史観を提示する。それは、「戦後日本は戦時期(一九四〇年前後)に確立された経済制度の上に築かれた」とする考えである(著者は九五年にその洞見を『1940年体制』として出版)。ざっくり言えば、世界で最も効率的な社会主義経済を日本はつくった、と。
だが、石油ショックにも対応できた日本型社会主義経済が、バブルあたりから変調を来し、九〇年代以降のグローバル化とIT化に立ち遅れているのはなぜか、消費者優先や規制緩和が叫ばれながら一向に実現しないのはなぜか――。
本書は『週刊新潮』の連載をまとめたものだけに、社会事件ネタや著者の大蔵官僚時代のエピソードなどがちりばめられ、さくさく読みながらなるほどとうならせる、肩のこらない経済読み物となっている。
こりゃあ、驚いた!
(2008-05-16)
元は、『週間新潮』に連載したものだそうです。いかに
も野史らしく、松本清張や城山三郎の小説を参照するな
どけれん味たっぷり。ふと、山路愛山『明治金権史』を
思い出しました。
太平洋戦争の戦時体制が戦後の復興を用意したとい
う立場は、今どき珍しくはありません(最近の例では雨
宮昭一『占領と改革』 岩波新書 2008参照)。しかし、
農地改革は農地調整法が可能とした、あるいはシャー
プ税制は1940年の税制改正を踏襲しただけと言い切
る本書の小気味良さは格別でした。ただし、「戦後の日
本(は)、まともな社会主義経済だった」とまで言われる
と、さすがに眉に唾をつけてしまいましたがね。(因みに
雨宮前掲書は、これを「社会民主主義体制」と言ってい
ます。)
何よりの読ませどころは、バブル時代に暗躍した巨悪
達が登場する第6章以下でしょう。バブル処理の納税者
の負担は、約49兆円という試算結果には、思わずため
息が出てしまいました。
通勤中、車内での読書によいと思います。
おすすめ度:
戦時から変わることのない経済体制。
よく、戦時・戦後の断絶が日本の問題の一つだと言われていますが、野口氏はそれとは正反対の主張をしています。それは、戦時と戦後はつながっていて、戦後の日本経済は戦時期に確立された経済制度の上に成立しており、日本経済のこれまでの発展と現在の行き詰まりの要因となっている、というものです。
断絶はむしろ、戦前と戦時の間にあるようでうす。戦前の日本は間接金融よりも直接金融方式の経済システムを採用していて、株主が企業に対し強い影響力を持っていたそうです。それが、戦時経済においてはイノベーションよりも規律が重んじられ、規律と親和性の高い間接金融の重要性が高まり、日本の経済は一気に間接金融に傾斜することになります。農地解放、財閥解体、癪借家法は、戦時経済の中で形成・準備されてきたものでした。その意味で、戦後日本の社会構造を作ったのは戦時体制であると野口氏は説きます。
本書によると、戦争直後、軍需省はまたたくまに商工省(現在の経産省)と名を変え占領後も残ることになりました。大蔵省もまたしかり。財閥も解体はされたものの、財閥系の企業は残り、支配的な立場を保ち続けてきました(戦後の日本の大企業といったらソニーとホンダくらいのものだそうです)。そして、銀行が支配的な地位を占めるという間接金融の仕組みも戦時そのままのものです。それ以外にもメディア、教育制度、土地制度、全てが戦時のものを引き継いでいるそうです。
野口氏は、占領経済改革が不徹底だった理由は、GHQ内の派閥対立と東西冷戦の激化(よって経済に打撃を与えずに日本を早急に対共産主義の防衛基地にする必要があった)のみならず、GHQの人々が日本について極めて浅薄な理解しか持ち合わせていなかった事にあると指摘しています(ドイツの場合は多くのユダヤ人が占領軍に情報を提供したのに対し、日本の場合、そのような人間も少なかった)。また、官僚もその「三大得意芸(最高権力者に対する面従腹背、都合の悪い情報は一切出さない情報操作、自分たちが必要であるとの最大限アピール)」をいかんなく発揮して占領軍の目を曇らせる事に成功したとも氏は指摘します。
戦後の日本経済は、高度成長を成し遂げます。その原動力となったのは、家計貯蓄をスムーズに財政投融資・企業投資につなげられる郵貯と間接金融の仕組み、租税特別措置、解体されることなく力を持ち続けた財閥系の企業の存在、企業と官庁の関係が維持されたことによる天下り先の確保と、それによる官僚機構の若さの維持などがが挙げられます。これらの多くは、日本の経済システムが戦前のものを引き継いでいるからこそのものでした。「世界で最も効率的な社会主義経済」として、中央集権的な日本経済は成長を進めます。
その後のオイルショックも、それからの立ち直りも、そして、バブルも、現在日本経済が行き詰まりに至っていることも、この戦時中の経済システムが現在にも引き継がれている事に由来していると先生は喝破します。現代の行き詰まりは、情報技術が発達した現代においては、地方分権的なシステム作りが最適なのに対し、日本の経済システムが中央集権的であるという事に一因があると本書では書かれています。
読みながら、感じた点を2点。
現地にもともとある指導機構をそっくりそのまま残し、占領政策のコストを低減するというのはアメリカの一貫した統治スタイルで(韓国もそうですし、最近で言えばイラクもそう)、もしGHQが日本について正確な知識を持っていたとしても、結果は同じだったのかもしれません。
それと、「日本の経済システムが戦前のものを戦後も引き継いでいる」、という命題が正であるのであれば、戦後の様々な経済の出来事や行き詰まりが戦前のシステムに由来している、というのは、当然と言えるのかもしれません。世の中の多くの出来事は、構造的な問題に由来するのですから。
戦後経済を読み解く一冊
日本の戦後経済は、戦時中につくられた経済体制の上に築かれたとの認識のもと、戦後の経済史をひもとく一冊。高度成長や石油ショックの対応において優れたパフォーマンスを示した、この体制が今や機能不全に陥っていると本書は指摘する。
「週刊新潮」に2006年8月から07年7月まで連載された「戦時体制いまだ終わらず」の記事をまとめたものであるから、エッセー風の読みものとなっている。したがって、この体制自体(著者は「1940年体制」と呼ぶ)についてまとまった記述がされているわけではない。しかし、著者の観点から時系列に歴史をひもとく本書を読む事は、現代日本低迷の本質を知る上での参考になることであろう。
「1940年体制」の詳細については、同著『1940年体制−さらば「戦時経済」』(東洋経済新報社)に記述されているので、こちらも併読するとより理解が深まるに違いない。
戦後日本経済史のパラダイム本
良く言われる戦前と戦後の連続性をバブル崩壊まで見据えて語っている。戦後の経済改革は全て戦中戦前に路線が敷かれていた。農地改革は戦争遂行のため自作農を後押しする必要があった。総力戦を戦うためには資本家が資本市場から資金を調達して利潤追求を第一義とするのではなく、経営者が銀行から資金を調達して国家社会への貢献を重視するように再編する必要があった。戦争のために国家社会主義的計画経済を打ちたて、その仕組みで傾斜生産方式、護送船団方式で高度成長を達成した戦後日本。システムを修正しなかったことが失われた10年につながるという筆者の見解は明快で首尾一貫している。高度成長期会社が正社員を増やしたのは退職給付引当金や社宅経費が法人税から控除される税制のおかげだというのも目からウロコ。「公的年金はねずみ講」との喝破も。実は戦時統制経済構造の上に平和主義、民主主義という思想がぴったり上手く乗っかっていた・・・今後書かれる日本経済史は本書の提示したロジックを踏まえて書かれなければならないだろう。
週刊新潮の連載をまとめた本だが日本の週刊誌の水準の高さ(幅の広さ?)にも驚かされる。
肩のこらない経済読み物
戦後日本は、占領軍により導入された経済民主化政策(農地改革、財閥解体、労働立法)、平和憲法の制定、公職追放などの改革で出直した新生日本(軍事国家から平和国家への大変身)が、その後の世界でも稀にみる高度成長を実現した――これが戦後日本の一般的な認識だろう。だが、著者はまったく異なる歴史観を提示する。それは、「戦後日本は戦時期(一九四〇年前後)に確立された経済制度の上に築かれた」とする考えである(著者は九五年にその洞見を『1940年体制』として出版)。ざっくり言えば、世界で最も効率的な社会主義経済を日本はつくった、と。
だが、石油ショックにも対応できた日本型社会主義経済が、バブルあたりから変調を来し、九〇年代以降のグローバル化とIT化に立ち遅れているのはなぜか、消費者優先や規制緩和が叫ばれながら一向に実現しないのはなぜか――。
本書は『週刊新潮』の連載をまとめたものだけに、社会事件ネタや著者の大蔵官僚時代のエピソードなどがちりばめられ、さくさく読みながらなるほどとうならせる、肩のこらない経済読み物となっている。
こりゃあ、驚いた!
元は、『週間新潮』に連載したものだそうです。いかに
も野史らしく、松本清張や城山三郎の小説を参照するな
どけれん味たっぷり。ふと、山路愛山『明治金権史』を
思い出しました。
太平洋戦争の戦時体制が戦後の復興を用意したとい
う立場は、今どき珍しくはありません(最近の例では雨
宮昭一『占領と改革』 岩波新書 2008参照)。しかし、
農地改革は農地調整法が可能とした、あるいはシャー
プ税制は1940年の税制改正を踏襲しただけと言い切
る本書の小気味良さは格別でした。ただし、「戦後の日
本(は)、まともな社会主義経済だった」とまで言われる
と、さすがに眉に唾をつけてしまいましたがね。(因みに
雨宮前掲書は、これを「社会民主主義体制」と言ってい
ます。)
何よりの読ませどころは、バブル時代に暗躍した巨悪
達が登場する第6章以下でしょう。バブル処理の納税者
の負担は、約49兆円という試算結果には、思わずため
息が出てしまいました。
通勤中、車内での読書によいと思います。
