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アイテム詳細
向日葵の咲かない夏 (新潮文庫 み 40-1)
道尾 秀介
発売:新潮社
Amazon.co.jp ランキング:Book で128773位
価格:¥ 660(税込み)/1,500円以上国内配送料無料(一部大型商品は除く)!
発売日:2008-07-29 /通常24時間以内に発送
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発売日:2008-07-29 /通常24時間以内に発送
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カスタマーレビュー
おすすめ度:
狂っているのは「世界」か「人」か
(2008-08-26)
小学四年のミチオ(僕)が住むN町では、犬や猫を殺して足を折り、
口に石鹸を押し込むという忌まわしい事件が頻発していた。
夏休みを迎える終業式の日。
僕はS君が首を吊って死んでいるのを発見する。
しかもその後、彼の死体はなぜか忽然と消えてしまう……。
一週間後、S君はあるものに姿を変えて現れ、
自分の死体を捜して欲しいと訴えてきた。
僕と妹のミカ、そしてS君は事件を追い始めるのだが……。
作風としては、乙一氏を彷彿とさせますが、独特の
感性が魅力である乙一作品よりも、重厚で緻密な印象。
それは本作が、しっかりとした本格ミステリの骨格の上に、現代的なテーマが
肉付けされ、なおかつ、幻想という衣装をまとわされているためでしょう。
S君の死、死体消失、そして動物殺し……。
作中で起きる数々の事件の謎については、二転三転しながらも論理的な
解明がなされていくのですが、そうした謎を生み出す「源泉」が何であるかは、
終盤まで隠されています。
それを一言でいってしまえば、主観と世界のせめぎ合いということになるでしょうか。
そのために、ミチオの一人称のパートと並行して、古瀬泰蔵という老人の
三人称のパートが設けられており、それがフェアさを保証するだけでなく、
逆に、作品世界に多層性や幻惑感をもたらす効果をあげているのはじつに秀逸です。
なにより、本作におけるトリックは、単なるサプライズの演出に
とどまらず、作品全体の主題と有機的に連関しています。
よしんばトリックを見破れたとしても、読者はその先に広がる、
無明の「闇」の深さに慄然とせざるを得ないのです。
全ての人が各々の物語を持っている
(2008-08-01)
デビュー作「背の眼」に続く第二作。前作より身近ではあるが怖さが滲む超常現象を扱ってインパクトの強い作品。この題材への好悪が作品の評価を別けるだろう。
主人公は小学四年生の僕。僕が級友のS君の首吊り自殺体を発見してしまう所から物語が始まる。ところが、学校・警察へ連絡後、警察が現場へ出向くがS君の死体は消えている。折りしも街では犬猫連続殺害事件が起こっている。しかも、両足は折られて、口には石鹸を押し込まれて。続いて起こる僕の仲良しのトコ婆さんの殺人。各々の事件・登場人物の関係は ? 犯人は誰か ? これらの通常のミステリ的謎は最後には合理的に解かれるのだが、読者の興味はそこには行かないだろう。読むに連れ焦燥感が増し、「一体この物語はどうなっているんだ !」と作者の意匠を疑いたくなる。そして、この物語の幕を引くのも僕である。
そう、徹頭徹尾「僕の物語」を描いているのである。そして恐らくこれが作者の意匠なのだろう。「全ての人が各々の物語を持っている」。これがテーマのように思える。僕もS君も妹のミカもトコ婆さんも僕の父母も哀しい過去を持つお爺さんも皆それぞれの物語を持っている。ミステリの体裁の中で、こうした世界観を打ち出すのは冒険だと思うが、作者は高度な技巧で、一作の中で通常のミステリと別の世界の両立に(ギリギリ)成功していると思う。作者の発想に唸らせられる衝撃度の強い作品。
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口に石鹸を押し込むという忌まわしい事件が頻発していた。
夏休みを迎える終業式の日。
僕はS君が首を吊って死んでいるのを発見する。
しかもその後、彼の死体はなぜか忽然と消えてしまう……。
一週間後、S君はあるものに姿を変えて現れ、
自分の死体を捜して欲しいと訴えてきた。
僕と妹のミカ、そしてS君は事件を追い始めるのだが……。
作風としては、乙一氏を彷彿とさせますが、独特の
感性が魅力である乙一作品よりも、重厚で緻密な印象。
それは本作が、しっかりとした本格ミステリの骨格の上に、現代的なテーマが
肉付けされ、なおかつ、幻想という衣装をまとわされているためでしょう。
S君の死、死体消失、そして動物殺し……。
作中で起きる数々の事件の謎については、二転三転しながらも論理的な
解明がなされていくのですが、そうした謎を生み出す「源泉」が何であるかは、
終盤まで隠されています。
それを一言でいってしまえば、主観と世界のせめぎ合いということになるでしょうか。
そのために、ミチオの一人称のパートと並行して、古瀬泰蔵という老人の
三人称のパートが設けられており、それがフェアさを保証するだけでなく、
逆に、作品世界に多層性や幻惑感をもたらす効果をあげているのはじつに秀逸です。
なにより、本作におけるトリックは、単なるサプライズの演出に
とどまらず、作品全体の主題と有機的に連関しています。
よしんばトリックを見破れたとしても、読者はその先に広がる、
無明の「闇」の深さに慄然とせざるを得ないのです。
全ての人が各々の物語を持っている
デビュー作「背の眼」に続く第二作。前作より身近ではあるが怖さが滲む超常現象を扱ってインパクトの強い作品。この題材への好悪が作品の評価を別けるだろう。
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そう、徹頭徹尾「僕の物語」を描いているのである。そして恐らくこれが作者の意匠なのだろう。「全ての人が各々の物語を持っている」。これがテーマのように思える。僕もS君も妹のミカもトコ婆さんも僕の父母も哀しい過去を持つお爺さんも皆それぞれの物語を持っている。ミステリの体裁の中で、こうした世界観を打ち出すのは冒険だと思うが、作者は高度な技巧で、一作の中で通常のミステリと別の世界の両立に(ギリギリ)成功していると思う。作者の発想に唸らせられる衝撃度の強い作品。
