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ロートレック荘事件
筒井 康隆

発売:新潮社
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カスタマーレビュー
おすすめ度:
なるほど!  (2008-10-28)
筒井康隆が○○トリックに挑戦すると、こうなるのか!
まさに、タイトルからトリックははじまっていたのですね。
画家のロートレック、この人のプロフィールをあらかじめ知っていると、さらに楽しめると思います。
それにしても、再度読み返して、筒井康隆の超絶技巧に唸りが止まりませんでした。

大胆かつ繊細なこれだけの大トリックを考え出した筒井康隆を、素直に絶賛したい  (2008-10-18)
私は、これまでに、七瀬シリーズを始めとした8作の筒井作品を読んできたのだが、その中で最も良いと思ったのが、どういうわけか、彼の専門外であるはずの、このミステリ小説なのだ。 

私も、一応は、海外物を中心に、世で名作といわれているミステリ小説は結構読んでいるのだが、この作品は、そうした名作群の中に置いても、決して引けを取らないだけの作品であると思うだけでなく、本職のミステリ作家では書けない(書かない)類いの作品でもあると思う。 

本作のようなトリックを使った作品は、本職のミステリ作家も書いていることは書いているのだが、本職のミステリ作家だと、もっと別のテクニックも併用しているもので、これほど一つのトリックに徹底した作品は、いかにもミステリの専門外の作家らしいと思うのだ。もちろん、これは、決してけなしていっているのではなく、私は、大向こうを唸らすだけの、大胆かつ繊細な素晴らしい大トリックと絶賛していいと思っている。一部には、当然、アンフェアだという意見も出てくるだろうが、トリックを知ったうえで全文を読み直してみても、破綻は全く来していないし、それ以上に、そんな理屈を抜きにして、これだけのトリックを考え出した筒井康隆を素直に絶賛し、見事に騙されたという気持ち良い爽快感を味わった方がいいと思う。 

もう一つありがたかったのが、ページ数がわずか214ページで、ストレスを全く感じることなく読めたことだ。これは、どういうことかというと、本職のミステリ作家の長編ミステリは、しばしば、ページ数を稼ぐために、あの手この手を使って解決を先延ばしにして、読者をいらいらさせることが多いのに対し、この作品は、そうした姑息な手法を全く使っておらず、すらすらと、一気に読めてしまうということなのだ。 

この作品は、私の手元の本で9刷と、それほど部数は伸びていないようなのだが、もっともっと読まれてもいい作品だと思う。 


緻密に計算された文章こそがトリック  (2008-08-16)
筒井氏によるこの作品は、ミステリーとしてカテゴライズされる。
しかしながら、この場合は懐疑的な姿勢より文学を耽読するような姿勢で臨まれることを推奨する。

総てを理解した後、再び最初から最後まで懐疑的に読むことは非常に有意味な作業だが、まずは素直にゆっくりと読み進めてほしい。

私は当初、本作をミステリーを読む姿勢で臨んだのだが、真相が明らかになるにつれてトリックや謎についてはどうでもよくなってしまった。

心情の機微がひしひしと伝わってくるのだ。特に、典子と二人きりで語りあうシーンは作中最も秀逸なシーンであり切なさに心が痛む。総てを了解した後では一層……

一字一句がトリックでもあり、文学でもある。この素晴らしさを読んで感じてほしい。


作者の自己満足  (2008-03-26)
確かに凄いかもしれないが、面白くはないよね、これ

あぁ、筒井さん頑張ったんだな、書くの大変だったろうな、とは思うが、それ以上の感想はなかったです。

いちいち読み返して一文一文チェックして「おぉ!確かに矛盾してない!」って楽しむんですかね?

まぁでも皆さん感動してらっしゃるようなので僕が変なだけかもしれませんね


衒い  (2007-10-24)
 「おれ、筒井康隆がミステリを書いてやろうではないか」という衒いが鈍い輝きを帯びて文章から伝わってくる。「おれがやるからには、普通のものを書いてはつまらない」との声が聞こえてくるような、まあ奇を衒ったトリックを仕掛ける。しかしながら、叙述トリック自体は古くからよくある手法で、さして新しいものではない。この作品に価値を与えるならば、SF畑の人がここまで完成されたミステリを仕上げてしまった(しかも真っ直ぐにミステリの設定で)という点にあるだろう。照れ衒い嘲笑がそこかしこから窺い知れる(そこが筒井の一番の魅力でもあるのだが)。作品を作者から切り離してみれば至って凡庸、取り立てて称揚するほどのことは無い。だが、筒井康隆に帰着して考えれば、その懐の深さに舌を巻いてしまうのも、また事実である。
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