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アイテム詳細

空白の叫び 下
貫井 徳郎

発売:小学館
Amazon.co.jp ランキング:Book で153678位
価格:¥ 1,785(税込み)/1,500円以上国内配送料無料(一部大型商品は除く)!
発売日:2006-08-25 /通常24時間以内に発送

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カスタマーレビュー
おすすめ度:
愚かな大人と、幼すぎる子どもたち  (2008-06-27)
 これでもかと悲惨な話を展開させながら、最後まで読者を引っ張っていく力は、さすがだ。もう年齢的に入ることのできない(笑)少年院の内情など、なかなか興味深いし、一度罪を犯した者への社会の厳しさも、十分に描けていると思う。
 私自身がそうだったから思うのだが、偏りのある愚かな大人のもとで育った子どもは、大人びて見えて、実は例外なく年齢より幼い。主人公の3人、あるいは被害者もそういう育てられ方の犠牲者であり、そのあたりを知り尽くして書かれた本だ。いつもながら人間観察力の鋭さには脱帽する。
 読後感が悪いと定評のある著者だが、無意識であっても自分自身の偏りを自覚していればこその後味の悪さなのだから、それで正解なのではないか。

面白かった  (2007-08-28)
神原と葛城の関係は設定とはいえあまりにもリアリズムに欠けたが、それを除いても
面白い作品だった。

実社会でも「普段おとなしいやつが一番怖い」というのは定説だが、正に神原はそのままだった。

とにかく、エンターテイメントとしては凄く楽しめた。

上巻はリアリズムが素晴らしく引き込まれたが、下巻はそのリアリズムさは色を潜め
エンターテイメントとして書いたのかな・・と勝手に推測した。

少年犯罪を考える  (2007-02-25)
久藤、神原、葛城。
この三人を主人公に物語が展開されるが、その他多くの人物が出現し、
それらすべての人たちが、強く関わっている。
ストーリーを読み進めれば、これらの関係が分かるが精読しなければ、
相関関係を見失いそうである。
しかし、関係を無視することはできないので、思わず確認するために読み返してしまう。
それだけ本書は、読書を惹きつけている、と考えられる。
また、「物語の順序」がよく考えられていることも、前述したようになる理由であろう。

「生き続けること」が、罪を償うことになるという点はなるほどと感じた。
人を殺すことが、どれだけ重いことなのか知ってもらうことは悪くない。
そういったことを葛城自身が、何らかの方法で本当に伝えることができるのであれば、
「罪を償う」ことが、できたと言えるかもしれない。
「罪を償う」ことの一部だと言えるかもしれない。

葛城、神原は幼少の頃から心の傷を負っていたと言えよう。
やはり、生育環境が彼らが罪を犯した根っ子の原因だと考えられる。
また、本書を通して、少年が非行に走るには、私たちが理解できないくらい、
深い深い根底があると感じた。

黒沢が、更生できそうな場面があったが、結局銀行強盗に荷担した。
更生しようと思っても、うまくいかない状況に直面するという現実も理解できた。
黒沢のような方法で社会からはじき出され、再犯するというケースも十分考えられ、
立ち直ろうと本気で思っていても、できないこともあると感じた。

昨今では少年法も改正され、多くの注目を浴びた。
いまや、少年犯罪は多くの人から目を向けられることである。
少年犯罪を考えるために読み、一つの観点として読むことも可能だろう。

生きる事が贖罪  (2006-12-25)
三人にとって、殺人は衝動的に生じたものではなく、
「必然」だったのかも知れない。
殺人は絶対に許される事ではないが、一度目の犯罪である殺人は、
定められた道だったという風に描かれている様に感じる。

当然、少年院を退院した少年達に対する、世間の風圧は強い。
しかし、三人は少年院でいったい何を学習してきたのか?
全く反省の色が無いのが、特に問題だと思う。

罪を深く受け止めて、真っ当に生きる事が贖罪につながると思う。
あろう事か、三人は新たな犯罪へと突き進んでゆく。
それは、ほとんど捨て鉢とも見なされる。

金への執着が強い程、贖罪の道は遠のくという印象だ。
罪は犯していないが、彩の夢は、ハワイに別荘を持つ様な金持ちになりたい、
という下りがあるが、これは、いくつかの点を象徴している。

金は、艱難辛苦を伴う努力の結果として、後から少しだけ付いてくる。
金持ちになる事が夢なんて、目的と手段が逆転した、おかしな夢だ。

三人の金に対する執着の程度が、贖罪に対する意志を語っている。
死ぬ事は卑怯と言われ、生きて贖罪する事を要求される下りは、特に印象的だ。

物語は綿密に練られていて、大変興味深いが、
三人の人格面での特殊性が強過ぎるという印象は持った。
その点で、少年犯罪の本質に迫る社会派作品というよりも、
全体に、三人を題材にした意外性のある物語という印象だった。

心の叫びは鳴り止まず・・・  (2006-11-29)
下巻は少年を出た3人が、
社会でなかなか受け入れられず、
またもや新たな犯罪に手を染めてしまうまでを描いています。

一度罪を犯してしまった人間に対して
社会が冷たいのは当然のことで、
彼らは普通の人以上の頑張りが必要となる。
そこを理解せず、社会に反発するように新たな犯罪に手を染める少年達。

あまりに幼い発想。
要は少年を更生させるって、
心や体に覚えこませるのではなく、
人対人で真摯に向き合ってくれる大人の存在なのかもしれない。

葛城と神原の関係の件はいかにも作られた感があったけど、
被害者の父が久藤に語った真実にはハッとさせられる繋がりがあり、
更正への道をはっきりと感じられるラストでした。

少年達の心の叫びは最後の最後まで鳴り止むことなく、
結局3人に欠けていたものは、
注がれることのなかった愛情なのかもしれません。

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