さて、時代が望んだということなのでしょうか? おりしも、家庭用ハードがスーパーファミコン全盛期になり、ハード自身のスペックが上がると、今まで不可能と思われていたようなソフトが登場してきました。その中の一つがこの『ロマンシング・サガ』シリーズだったのです。このソフトは、RPGの「自由度」について、プレイヤーたちに多くの疑問を投げかけてきたのです。
そもそも「ロールプレイングゲーム」ってなんでしょう?
歴史をたどるのは不可能ではないのですし、このジャンルの存在定義については、まあ人それぞれでしょう。しかし、「パイオニア」達が、そして「クリエーター」達が目指していたものとは、何なのでしょう?
初めに「テーブルトークありき」です。元々はアメリカで始められた「テーブルトーク・ロールプレイング」というゲームがありまして、ご存じない方のために説明させてもらうと、主にファンタジー世界を舞台にした「ミニ演」みたいなものでして、コンピューターなどは使わずに、紙とエンピツとサイコロだけを用意するというものです。
まず世界の構築から始まり(コンピューターRPGで言えばマップからいろんな国々いろんな人々などの設定などを決める事)、そこでプレイヤー達にプレイする上でのキャラクターやルールを決め(ゲームですから、ルールは必要です)、この世界全てを仕切る「神」にも似た「ゲームマスター」をたて(コンピューターRPGでいうところの「コンピューター」部分の仕事をする人、この役の人は、直接ゲームには参加しない。かわりに、プレイヤー以外の一般人から悪役、モンスターまでの全ての役を演じて、大まかなシナリオを立て、ゲームを面白くなるように誘導する「義務」がある)、その「世界」での自分の役(ロール)を演じる(プレイング)ことを楽しむのが目的です。
例えば、次の国に行く為に、番兵が見張っているカギのかかった扉をクリアしなくてはいけない時、コンピュータRPGならば、「番兵を倒してから、カギを探す」みたいな選択肢がせいぜいでしょう。しかし、人間が仕切っているテーブルトークならば、明らかに不自然ではない限り、「番兵を色仕掛けで落とす」とか、「番兵の交代時間まで粘り倒す」とか、「めんどうだから大砲をどこかから調達してふっとばす」など、無数の選択肢が示されるのです。(あまりプレイヤーを甘やかすような選択肢を許さないのも、良いマスターの条件です)さて、これがいわば「オリジナルRPG」ともいうべきテーブルトークの概要です。
(はしょりすぎているので、訳わかんないかもしれませんが、「ダンジョン&ドラゴンズ、アドバンスドD&D」日本では『ソードワールド』などのタイトルのルール集がメジャーでしょうか? 興味をもたれた方は、検索などをおすすめします。)
そもそも、このゲームをコンピューターでやろうとしたことが、今日のRPGの目指していたものです! しかしながら、最初期のPCの性能など、たかが知れていました。人間相手ほどの感動や多様性は望むこともできませんでした。では、どうやってちゃちなPCで「感動」、「面白さ」を伝えればよかったのでしょう? まずは「レベル上げ」の感動でしょうか? 人は、己の成長に感動、快感を覚えるものです。
(テーブルトークにもレベルはありますが、『D&D』ではレベル10が最高で、1プレイ中に1レベルも上がらないものです)
そして闘い、アイテム集めなども快感、感動を呼ぶ、これらがPCで出来る範疇ではあります。
つまり、今現在皆さんがRPGの定義だと思っている「レベルアップ」、「戦闘」、「アイテム集め」などの要素は、人間相手ほどの自由度の無いPCで、いかにプレイヤーを感動させるか、という条件を満たすための「苦肉の策」なのであります! そして、その目論見は大きく成功したといってもいいでしょう。「コンピューターRPGは面白くなった」のですから。
しかしながら、当然画一的なシステムを踏襲し続ける事には限界があります。ゆえに、クリエーター達は頭を絞って「より面白いもの」を目指したのです。そのひとつが「自由度」という要素なのです。そう、ここにきて、「プレイヤー及びクリエーターのニーズ」と「コンピューターRPGが本来目指したもの」が不随意的にではありますが、歩み寄りを見せたのです! その最もパイオニアな型がこの『ロマンシング・サガ』シリーズなのではないでしょうか?
このゲームでは、最初から男女8人のプレイヤーキャラが選べます。そして、始まりの状況から仲間になっているキャラまでも全てバラバラ。プレイヤー次第なのです。これ以前のゲームでは、「自由度」という言葉は「何処でもいけるよ」ぐらいの意味しかありませんでした。そのようなソフトの場合、ストーリーそれ自体は無きにしも非ずな状態でして、プレイヤーは主に「自分の脳内でストーリーを組み立てる」しかありませんでした。(その際たるものが『ウィザードリィ』ですね)
それを、シチュエイションをゲーム内に散りばめることにより、プレイヤーがそれらを「自由」に拾い、ストーリーを組み立てる事ができるようにするシステムが編み出されたのです。それが、この『ロマンシング・サガ』シリーズだったのです。
現時点のコンピューターでは、この「シチュエイションのばら撒きと刈り取り」以外のシステムでは、自由度を体現する方法は存在できません。それこそ、コンピューターが人間並みの判断力を身につけ、なおかつご家庭にまで普及しなくては、「テーブルトーク並み」の自由度のゲームは現れることは無いでしょう。
遠い未来の話でしょうか?ほとんどの人はそう思うでしょう。しかし、この二十年以上のゲームの発展をみてきた私には、あながちそれほど未来の話とも思えないのです。
(ハード:スーパーファミコン メーカー:スクウェア)
![]() | アルティメット ヒッツ ロマンシング・サガ -Minstrel Song- スクウェア・エニックス 2006-05-11 by G-Tools |
さて、ハードの性能が上がるにつれ、さまざまな技術の導入がRPGに施されてきました。グラフィックの進化や増大する容量によるシナリオの複雑さ、和音さえも表現できるBGMなど、ファミコンしか知らなかったゲーマー達に大きな感動を与えてくれました。しかし、こんなにも進歩したROMにも苦手とする技術がありました。それが、「人の声の再現」だったのです。
これまでにも、「人の声を真似た」と主張するソフトは出てはいましたが、「よく耳をすませて、心を空っぽにして神経を集中させればあるいは人の声に聞こえるかも・・・」的なものでした。多くの人は、「それがROMの限界だ」と信じていました。そんな「常識」が、かのソフトにより履がえさせられたのです! それがこの『テイルズ オブ ファンタジア』だったのです!
まず、ハードにソフトを差し込んで、そして電源を入れましょう! あらまあ!びっくり! なんとスーファミゲームから、CD並みの音声が聞こえてくるではないでしょうか!さらに、ゲーム本編の人物たちもしゃべっています! まずは「どうやってやったんだ?!」という疑問が、そして「こりゃすごい!!」という感嘆があふれでてきました!
さらに、この手の「革新的」ゲームの多くに見られる「まあ、この技術は凄いけど、ゲーム本編はクソゲーだよ。」みたいなこともありません。本編のゲーム内容も、半アクションのシステムもおもしろかったです! まさに、極上のエンターテイメント作品に仕上がっているのです!
だがしかし、このソフトを取り囲む状況が、この「初めの」テイルズシリーズに影を落としていました。
まずはこのソフトと『ドラゴンクエスト6』の発売日が重なってしまった事でしょうか? 残念ながら、この新シリーズよりも知名度が俄然上のソフトに人気が集中したのは、やむをえなかった事かも知れません。さらに、「次世代」の影も近づいていました。「CD−ROMなら、音声表現なんて当たり前」なので、今更新技術を駆使してただの古いROMに、苦労してしゃべらせる利点はあまり無いように思われました。
しかし、数々のマイナス要因を引きずりながらも、このシリーズが生き残ってきた背景には、クリエイター達の「いいモノを作ってやるぞ!」という意気込みが感じられたのです! もう、余命いくばくもない「ROMにしゃべらせる」技術をわざわざ導入してきたのは、こういったスタッフたちのクリエイティブな意思」ゆえになのです!
その証拠に、このソフトは後にシリーズを重ね、この『テイルズ オブファンタジア』にいたってはさまざまなハードに移植される事となったのです! 「面白いものを作るぜ!」という意気込みは、この「ナムコ」という会社が、ゲーム業界に進出してきてからの変わらないスタンスなのです。実に賞賛されるべきではありませんか?
ああ、アーチェの「いんでぐねいしょん」って声が耳に残ります。(意味不明)
(ハード:スーパーファミコン他多数 メーカー:ナムコ)
![]() | テイルズ オブ ファンタジア ナムコ 2003-08-01 by G-Tools |
「革新的」をキーワードにお届けしてきたこの記事も、とうとうここまで来てしまいました。皆さんは『ドラクエ』好きですか? 「FFシリーズ」などはどうでしょう? では、いっそうのこと『ドラクエ』+『FF』なんてどうでしょう?! 誰しも、「そんなバカな!」と思っていたのです・・・『クロノトリガー』が出るまでは!
「ドラゴンクエスト」の堀井ゆうじ氏、『ファイナル ファンタジー』シリーズのスクウェアと、漫画家の鳥山明氏、この三者が手を組んだのです!今にして思えば「スクウェア・エニックス」の前触れだったのでしょうか?当時、明らかにライバルであった二社が手を組もうとは、誰も思いつかなかったことでした。
それゆえ、大いに話題になったものです。大きな自由度、斬新な戦闘画面、幾種類ものマルチエンディング! スーファミで、これほどのソフトが出ようとは! SFで、「タイムトラベル物」というジャンルがあります。その名の通り、時間を移動することがメインになっている話なのですが、この手のストーリーは破綻しやすく、「いい話」をくみ上げるのには相当なシナリオ力が必要とされます。そんな難題をこのソフトは真っ向から取り組んでいるのです!
一万年以上の昔から、何千年もの未来にわたる物語は、主人公である「クロノ」の視点で進んで行きます。その巧みなシナリオは、「なんとしても自分がこの星を護らなくては!」という気にさせます。何という誘導力でしょう! 「マルチエンディング」「時間旅行」「キャラクターの立たせ方」など、一つのストーリーとして安定させるのに厳しい条件を、このソフトではクリアしていったのです!
本作品はSF色が強いのですが、未経験の人でも好き嫌いせずに、一度「お試し」してはどうでしょう? マールが、ルッカが、そしてクロノ達が経験した「冒険」を、ぜひとも味わっていただきたいのです。それはきっと、自分たちが子供の頃に感じた、あの「ドキドキ」をきっと思い出させてくれるでしょう。
このソフト、後に続編が『クロノ・クロス』という題名でプレイステーションに、そして本作品も同ハードに移植されました。こんなに丁寧に作られているソフトならば、「名作」と呼ばれても仕方のないことでしょう!
(ハード:スーパーファミコン メーカー:スクウェア)
![]() | クロノトリガー PS one Books スクウェア 2002-01-17 by G-Tools |
「しんでしまうとはなにごとだ!」
ンー、名セリフですね。RPGにおいて、「死」の扱いは様々でした。前述の『ドラクエ』みたいについうっかり全滅ってな感じですませたり、(その場合、大抵持金は半額になる)『ファイナルファンタジー』シリーズのように死んだら(全滅したら)そこで終り、などという厳しめな物がほとんどのRPGの「死の形」でしょう。(ウィザードリーシリーズのように、キャラクターが「消えてなくなる」というのは稀ですね)そのような中で、この『ヘラクレスの栄光』シリーズは「まあ、そうかも」と思わせる「死の形」を提示してきたのです。
このシリーズ第一作目の主人公は「ヘラクレス」です。「神の子」です。だから死にません!・・・・まあ、そうかも。
そんなこんなでプラットフォームをスーパーファミコンに移した作品がこれ『ヘラクレスの栄光3』です。主人公はヘラクレスではなく、神の子でもありません。しかしなぜか不死身の体を持っています。何故、主人公は不死身なのでしょうか?それは・・・・ストーリーに深くかかわってくるので、ここからの言及は控えさせてもらいますが、決して「神々に愛されているから」などという生易しい理由ではなく、むしろ「神々からの呪い」なのです。「死」というRPG普遍のシステムをストーリーに盛り込んだこの手法は秀逸でありました。「感動のストーリー」という観点から見れば、このソフトは「スーパーファミコンで一番」といってもいいでしょう! 機会があれば、ぜひお試しを!!
そして『4』です。最初、主人公は「犬」なのです! (技は「噛み付き」とかです)実は、主人公はもうすでに「死んでいる」のです。しかし、死ぬべき定めから離されているので、不死身ではあるのですが、身体がないのです! そこで、いろんな人や動物にのりうつりながらゲームを進めていくのです。「戦士」などの明らかに戦闘むきなキャラクターにばかりのりうつるのではなく、「羊飼い」など明らかにヨワヨワなキャラにまでのりうつることも出来て、なかなか面白いシステムなのです。このソフトも、なかなか感動させてもらいました。
残念ながら、続編の話などは聞きませんが、この二作品はぜひ移植でもいいのでもう一度味わってみたい極上の品です。皆様も、機会があればプレイしてみてはいかがでしょう?
(ハード:スーパーファミコン メーカー:データイースト)
「世界」は丸いです。・・・いえ、当たり前なんですが、でもまだ飛行機もなかった時代の人々は、この世界の形について、実にユニークな発想をしていたものです。
世界は平たい円盤で、ふちから海の水がジャージャーこぼれてる、とか、大きな山に四方を囲まれ、その上にホシボシの輝く天井が乗っかっている、なんてのもあったようです。
そして、視点を古代インドにむけて見ますと、この世界は「大きな亀」の背中に乗っている・・なんて考えていたようです。
「ありえない」けれども「おもしろい」ですね!
そんな世界で冒険してみたくはないでしょうか? そんな夢をかなえてくれたのがこちら、『サンサーラナーガ』です。
主人公が生まれ、冒険するこの世界は、なんと大きな「亀の背中」!その世界で、主人公は「竜使い」としての旅に出ます。
相棒は、まだ生まれたばかりの小さな「竜」の赤ちゃん(!?)です。
このゲーム、主人公はどんなに戦闘してもレベルは上がりません!
モンスターを倒して、その「肉」を手に入れ、なおかつ「肉」を売り飛ばしたお金で装備を整える・・・ことだけが、主人公の能力アップの方法です。
このゲームは、他のRPGと違い、最初からいける場所が「世界のほぼ全て」なのです。ですが、敵が強すぎて最初からいける場所などたかが知れています。
そこで、こつこつミジンコなど弱いモンスターから相手にし、その「肉」を片っ端からため込みます。
ためた「肉」は、相棒の「竜」に食べさせるのです。するとはじめて「竜」がレベルアップするのです!
まだ赤ん坊の頃の竜は、弱々しくなかなかモンスターにも勝てませんが、やがてレベルアップを繰り返してゆくと「成長」し、グラフィックもたくましくなってくるのです! 挙句の果ては、「足」しかみえないくらいに巨大になります!
全体的には「ギャグ」が多くちりばめられてはいるものの、後半に近づくにつれ、どんどんシビアな状況になります。
そんなところもいい感じです。
この独特な世界観はどうでしょう? こんな演出をするのはどんな人?・・・
「押井守監督」です! ご存知の方も多いでしょうが、この人は映画監督です。代表作はアニメ『パトレイバー』シリーズとか、『攻殻機動隊』、それに実写映画の『アヴァロン』などが有名でしょうか。
ゲーム業界では監督のゲーム好きは結構有名で、映画『アヴァロン』も、そのモチーフに『ウィザードリー』を起用するなど、ゲームの影響があちこちにみられます。
そんな監督が、はじめて映画以外の監督をしたのが当ソフト『サンサーラナーガ』なのです。
全体的にひろがる「ほわほわしてるけど、実は凶暴」な空気は、監督の得意な演出の一つに上げられます。
漫画家の「桜玉吉」氏のキャラクターデザインも世界観にマッチし、好みが分かれるところでしょうが、一つの作品としてみた場合の完成度はなかなかです。
後に、世界観は残念ながら引きついではいないものの、やはり独特のシチュエイションを展開している『サンサーラナーガ2』がスーパーファミコンで、そして『1』と『2』がカップリングされ一つになって移植された『サンサーラナーガ1×2』がゲームボーイアドバンスで発売されました。
この世界の謎とは?・・・『サンサーラナーガ』(転生竜)の意味とは?・・・「変な世界」が嫌いでないのなら、ぜひ一度監督の世界で冒険してみてはいかがでしょう? 世界の謎が、解けるかもしれません?!
(ハード:ファミコン、スーファミ・他 メーカー:ビクターエンタテイメント)
![]() | サンサーラナーガ1×2 Best Collection マーベラスインタラクティブ 2006-02-16 by G-Tools |
かくて、遠く山河を見渡せば、つわものどもが夢の後。
多くの猛者が打ち倒れしこの戦場も、しかし未だ遠くはがね打ち合う声が響き、
ただ悪戯に戦火は広がり申した。
そう、「次世代」の荒野へと・・・
驚き戦慄く拙者の眼前に広がりしは、『参の国・山河、紅に染まりて』
・・・行脚の旅は、鎮魂の響きなり。



